アメリカに到着して、私が一番最初にしたこと…


それは、

夫の両親にハガキを出したことでした。


本当にそれが一番最初にしたことでした。


アメリカに着いてすぐ、宿泊したオーシャンフロントの素敵なホテルの一階で、素敵なハガキを買いました。


Facebookやスマホが主流だったあの頃、夫の両親と連絡を取るのにまさか本当にハガキしかなかったとは…。



ハガキには、


「こんにちは、お元気ですか?

夫がアメリカ勤務になり、今、あなたの近くの米軍基地にいます。子供は2人産まれました。


ご連絡をお待ちしています。

まだスマホを持っていないので、ホテルの電話番号をお知らせします。

自宅が決まり次第、ホテルは出ますが、

自宅やスマホが決まればまたハガキを出します。」


こんなハガキの内容、実の両親に宛てたものとは信じ難いですよね。


私がハガキを書いていたら、夫は「そんなもの書かなくていいよ。」と寂しそうに言っていました。


しかし私が書いたハガキを郵便局に持っていき、投函したのは夫でした。


やっぱり夫は、両親に会いたかったのでしょう。



私は今でも思います。


あの時、私がハガキを夫の両親に出さなければ、夫は薬物依存症にならなかったのではないだろうか…と。



しかし例え、


「もしやり直せるなら、

ハガキは書かないか?」

と聞かれても、

やはりハガキは書きます。


車で4時間しか離れていないのに、

会えないなんて。


家族なのに、

あまりにも悲しいからです。


そして夫が本当は両親に会いたがっていたのを気づいていたからです。




しかしそれでも同時に、

やっぱりハガキは出さなければ良かった、と思う日もあります。



ホテルの一階の売店で、初めてのアメリカにワクワクしながら選んだハガキ…、


12年前のあの日を今でもよく思い出してしまいます。