少し時系列が前後しますが…


家具の話を先にします。


米軍住宅から追い出される前に、

家財を、自宅の庭で売ることにしました。


日本ではガレージ・セールと呼ばれていますが、

(ガレージ=車庫)


アメリカではヤード・セールと呼ばれていました。

(ヤード=庭)



ディズニー映画「トイストーリー2」で、

主人公のママもやっていましたよね。



更に、普通のヤード・セールよりも規模が大きいものが、

ムービング・セール。

(ムービング=引っ越し)



特に米軍住宅では転勤が多い為、

ムービング・セールが盛んでした。






週末前、道端に


「ムービング・セール 

〇〇通り 911

週末開催」


と看板を出しておくと、

簡単に人が集まるようです。




私もよく行きました。



私は、規模の大きいムービング・セールを開催し、

自宅の庭で家財を売ることにしました。


広告も出し、

ある土曜日の朝。


ムービング・セールの準備で、夫と一緒にベッドを自宅の庭に出していると、


初老の女性が通りかかりました。


「このベッドは売るの?」




「あ…はい。

新品で購入し、4年しか使っていないので、まだ充分お使いいただけます。」




「そう、ちょうど良かった〜!

実は息子が、日本からこちらの基地に転勤になり、

今、はじめて息子の家に行くんだけど、


『ゲスト・ルームにベッドがまだない』と言うのよ。


あやうく私はソファで寝るところだったわ。

ぜひ売ってちょうだい。」





「そうだったんですね。

日本から…。」




「おいくらかしら?」




「…無料であげます。」




「えっ。それは申し訳ないわよ。」




「…いいんです。」




私は夫をチラッと見ました。

夫もうなづいていました。



「私は日本に帰るんです。

こんな大きなベッドは日本に持って帰れないし、

そもそもこのベッドは日本の玄関も通らないでしょう。 

だから使ってください。」




「…本当にいいの?

ありがとう。


息子は今、家にいるから、

すぐに息子とトラックで戻ってくるわ。」




私は、ムービング・セールで少しでもお金の足しになれば、とは思っていましたが、

大事な家具を二束三文で売るのも辛かったです。


それなら必要な人に使ってほしいという気持ちになりました。



しかし…


このムービング・セールで、

判明してしまった事実がありました。