朝目覚めても何もする気になれない。
ここ数ヶ月は、父の顔と頭を洗い、ヒゲを剃ることが日課だった。父の温もりを感じることができる幸せなひと時だった。
今日も庭先で野鳥がさえずっている。
今まで鳥のさえずりなど、あまり気に留めることもなかったが、最近は殊の外敏感になってしまった。
父はカラオケでよく『千の風になって』を歌っていた。
♪朝は鳥になってあなたを目覚めさせる♪
もしかしたら、庭先の鳥は父なのかもしれない。
「パパがいつもそばにいるんだ。」と前向きに捉えることができたら、どんなに楽だろう。しかし、今の私にはとうてい無理なことである。
鳥のさえずりを聞くだけで、涙が溢れてくる。
今日も何もすることができないまま、昼になってしまった。
