しばらく仕事がない父は、午前中パンの下ごしらえのため生地をこねこね。午後は夕飯までモンスターハンターのゲームをしていた。なかなかのゲーマーであった父はあの頃を振り返ると、とても幸せな1年だったと話している。
会社に通っていた頃の父はスーツをビシッと着こなし放つオーラもかなり威圧感があったのだが、自宅にいるようになってからは体もだが中身も丸くなってきたように思えた。
やはり外に働きに出るということは時に大きな荒波に立ち向かわなければならないことなんだなと感じたのでした。
ITと金融の会社だったのもあり大きなお金を動かしていた父は日々気を張っていたのではないのかと思った。それは、
自然が大好きだった父は私をよくキャンプに連れて行ってくれていた。焚き火をしながらくつろぐその姿はとても穏やかであり、厳格で口数も少なく仕事人間といった印象の父であったが、目の前にいる父からは温かさや愛情深さが滲み出ており父親としてではない人間味溢れる一面を垣間見るようであった。
私はそんな父を心から尊敬していた。
ある時、母が突然、私たちに話しがあると言って私と兄妹を食卓に呼び、深刻そうな様子で
実はお父さんは私と兄とは血の繋がりはなく、
本当の父親ではない。と打ち明けたのでした。
それを聞いた私は、やっぱりそうだよね、と思い、
私はなんとなくどこかでその違和感に気づいていて、母も私になんとなく気づかれているような気がしたので話してくれたようだった。
例えその事実を知っていたとしてもこれまで一生懸命に育ててくれ、共に過ごし積み重ねた日々、思い出は変わらないことを知っていたので私はショックを受けることはなかった。それどころか実の娘でもないのに受け入れ育ててくれたことに驚いた。
すると兄が、じゃあ本当の父親は?と聞き、
母は、本当の父親は死んだ。と言っていて、
兄はそっかー、、。と少し残念そうにしていたが、後々本当の父親とはまさかの展開で再会することとなる。
あの時、死んだことにされていた実父。
その当時の実父は福岡の博多区中洲で
風俗のスカウト業で生計を立てていた。
実父再会は中学生になった頃なので
まだ先のお話です。
