今日は読書です。

 

本日はこちらの本。

 

 

『傲慢と善良』 辻村深月 朝日文庫

 

架(かける)の婚約者の真美が突然姿を消した。

真美は2か月前ストーカーから逃げてきてそのまま架の部屋に住むようになり、架もそれをきっかけに結婚を決意したのだ。

だがその真美が行方不明になる。

架と真美は婚活アプリで知り合った。

架は学生のころからモテるタイプで彼女を欠かしたことがないほどだった。だが結婚を考えたことはなかった。しかし40を前にして周りはみんな結婚して家庭を持つようになり架も焦りがでてきて婚活を始めたのだ。前の彼女が忘れられないまま何十人という女性とアプリなどで知り合ったがピンとくる相手が見つからないままたまたま真美と知り合ったのだ。

いなくなった真美がもしやストーカーにさらわれた?もしくは嫌いな人ではなかったとストーカーのことを真美が話してたことからストーカーと一緒にいるのでは?と考えた架は真美が東京に出てくるまで住んでた実家がある群馬へと足を運ぶ。

そこで真実の真美の姿を知ることになる。

真美の両親は見栄っ張りだった。真美は親の敷いたレールの上を今まで何の疑いもなく歩んできた。親が選んだ学校、親が選んだ就職先、そして、結婚相手も親が選ぼうとしていたのだ。そこになんの疑問ももたず真美は親のいいなりに過ごしてきた。しかし親が登録した結婚相談所で紹介された二人とも真美はピンとこず振ってしまったのだ。

架は結婚相談所を経営している夫人から「ピンとこない」という言葉は都合のいい言葉で無意識に自分を過大評価していて相手にそれ以上を求めていると言われる。

架自身も婚活をしていてピンとくる相手がいなかったから今まで結婚せずにきたのだ。

真美の両親も傲慢、善良そうに見えた真美も実は傲慢な面を持っていて、そして架自身も傲慢であったということだ。

ストーカーの行方がつかめないまま時は過ぎていき、数か月経った頃、架は女友達に呼び出されてある話を聞かされる。

真美は一体どこへ行ってしまったのか?

 

あらすじ長くてすいません(笑) 本自体がちょっと厚めだし、このタイトルの

 

言わんとすることが深すぎてあらすじでは書ききれませんね(笑)

 

人間は必ず善良な部分と傲慢な部分を持ち合わせているということです。

 

真美は親のレールの上をただ歩んできただけ、架と出会った後もとても善良な

 

人間にみえていた。

 

だが、お見合い相手の男性を無意識に見下していたのだ。

 

嫌で振ったわけではないと言いながらも、この人と自分は違うのよ!

 

みたいな気持ちがあったのだ。

 

架はその二人のどちらかがストーカーであると睨んでいた。

 

しかし二人と会った架は二人ともとても善良な人間であると判断した。

 

ストーカーの影がますます見えなくなってしまったのだ。

 

架もお見合いやら婚活パーティやらいろいろ試した結果ピンとくる相手がいず、

 

アプリに登録してやっとこの人ならと思えたのが真美だった。

 

しかし、その真美に対しても結婚するという気持ちは最初持てなくて、

 

あるとき女友達に架にとって真美は何パーセント?と聞かれ

 

70%と答える。それを女友達から、その70%はそのままその子に対する

 

点数だよと指摘される。

 

元カノだったら100点をつけていたはず。でも真美は70点の相手だったのだ。

 

それでも結婚を決心したのは真美がストーカーに狙われて自分に助けを求め

 

一緒に暮らすようになってから。真美と出会って2年近くたってからであった。

 

 

そして真美は結婚を半年後に控えたある日消えてしまう。

 

架はひたすら真美の行方を探し始めるが・・・

 

 

評価は★4~5

 

この作品は2部構成で、1部は架目線、2部は真美目線で書かれている。

 

ちょっと厚めなので、読み始めるまでは少し躊躇したが、読み始めたら

 

大変面白かった・・・。というか、すいすい読める作品だった。

 

あらすじにも書いたが「ピンとこない」という言葉は誰しもよく使う言葉では

 

ないだろうか?

 

私もよく使う。でもこの言葉の裏って結構深いんだなと思い、

 

自分も結構傲慢だったんだ・・・って気づかされる。

 

群馬にいる時の真美にちょっとイラつきをおぼえるのは、

 

真美の母が私の母にちょっと似ていたからだと思う。

 

どこが・・・というと見栄っ張りなところ(笑)

 

私は母に猛烈に反発心を抱いてたし、反抗してたけど、真美は

 

ずっと母の言いなりでいた。

 

自分自身というものをもっていないのだろうか?と思ったのだが、

 

結構真美も傲慢だったことに気づく(笑)

 

この作品は一昨年文庫化されてベストセラーになった作品である。

 

辻村深月さんの作品は人気があるが、私が納得して読めたのは

 

この作品が2作目だ。

 

ラスト、架に対して、あなたそれでいいの?ってちょっと疑問があったが、

 

まぁ、本人がいいならいいのか?と(笑)

 

お勧め本です。