今日は読書です。
本日はこちらの本。
『痣』 伊岡瞬 徳間文庫
2週間後に警察を退職する真壁。そんな矢先に女性の全裸遺体が発見された。
遺体の胸元には小さな痣があり、首にはマフラーがまかれていた。
真壁はその痣に見覚えがあった。1年前殺された妻にあった痣と似ていたのだ。
成り行きで捜査に加わることになった真壁。相棒の宮下との捜査が始まる。
数日後、また女性の全裸遺体が発見された。この遺体の胸元にも痣があり、首にネックレスだけつけていた。
この遺体をみて真壁は確信する。前の遺体のマフラーは妻が真壁に買ってきたものだった。そして今回の遺体のネックレスは真壁が妻にプレゼントしたものだったのだ。
そして二つの現場では不審な車が目撃されていた。ボロボロの黒っぽい車。
これは真壁の車だ。上司の伊丹の息子で現在行方がわからない刑事である敏和のものを譲りうけたものだった。
犯人は真壁を知っている人物、更には真壁の近辺にいる人物。
そんなおり、遺体の一人の身元が判明した。それは数年前に保険金目的で娘を溺死させたといわれる夫婦のうち、妻のほうが3人の男に強姦されて殺された事件だった。その犯人の男の姉が犠牲者だったのだ。夫の方はその時真壁と真壁の上司が事情聴取をしている最中だった。
犯人の男の身内が殺されてたことから夫による犯行も疑われたが夫は半身不随の状態だった。
この事件の真相はいったいどこにあるのか?何が目的なのか?
なんだかちょっと久しぶりに本格ミステリーを読んだ気分である。
伊岡瞬さんの作品は三作品目だが、最初に読んだものがグロすぎて引き、
次に読んだものはストーリーがいまいちで、なんとなく伊岡瞬さんから
離れていたのだが、今回の作品は良かったと思う。
遺体の状態が凄惨だったもののそんなにグロイというほどでもなく、
ストーリーがよく考えられており、しかも読みやすくページが進む作品である。
2週間後に刑事を退職、明日から有休消化に入るはずだった真壁。
なのに大きな事件が起き捜査にあたることになったのだが、しかし、
遺体には亡き妻と同じ痣。妻を殺した犯人は死んだはずだが、
一体誰が?
真壁はこの事実を誰にも言うことができず捜査にあたる。
途中からは真壁に付き合って宮下も真壁と一緒に独断捜査に乗り出す。
評価は★4~5.
真壁が勤めていたのは警察の窓際とも呼ばれるような田舎の分署である。
問題児ばかり集まった分署で起きた大きな事件。
刑事って常に事件解決に向けて懸命に捜査してるものと思っていたが、
この作品の刑事は嫌な奴ばかりである。同僚の足を引っ張るもの、
嫉妬するもの、なにがなんでもお手柄をあげたくて揚げ足取りするもの。
平気で同僚を無視するもの。
リアルの刑事がどうだかは知らないが、この作品のような刑事たちのような
気持ちで捜査してるのなら幻滅する。。。
知らぬ間に犯人の手中にハマっていく真壁だが、一体犯人は何の目的で
殺人を犯しているのか、胸元に痣のような傷を残したのは何故か?
犯人は意外な人物でも何でもないけど、読ませる力がすごい作品だし、
面白く読める作品なのでそこは評価できるところですね。