今日は読書です。

 

本日はこちらの本。

 

 

『薔薇の殺人』 内田康夫 中公文庫

 

大学に通うため上京し大学生活を送っている浅見光彦の親戚の悟が光彦に相談を持ち掛けてきた。

なんでも自分が思いを寄せてる女子高生が行方不明になっているという。

名前も知らない女子高生のことをもっと知りたくて悟は偶然駅で見かけた女子高生の後を追って家を見つけ出した。ところがそれが原因で警察から目をつけられてしまう。

行方不明になった女子高生は文枝という名前で祖父母と暮らしていた。

両親は交通事故で亡くなり、祖父母の家で居候という形であった。

しかし文枝の両親は実は一部の人間しか知らないが元宝塚歌劇団のスターで現在も芸能界で活躍している鳥越美香と人気俳優三神洋だった。

数日後文枝の遺体が山中から発見された。警察は悟を引っ張るが、光彦の機転で悟の容疑は晴れた。そして光彦は内部犯行説を疑う。

文枝が行方不明になってから犯人から届いた脅迫状は新聞の切り抜きで作られており、A新聞のものと断定された。

光彦はどの新聞から切り取られたか調べ始めるが「娘」という文字を見つけるだけで15日も要した。そしてその「娘」という文字はなんと17年も前の新聞に使われていたものだった。17年前というと文枝の実の両親が交際していた時期であった。

異例の抜擢でスターにのし上がった鳥越美香を当時恨んだり妬んだりしたものもいたので、光彦はその線での捜査も始める。

果たして文枝を殺したのは誰なのか?

 

内田康夫さんの作品は読みやすい・・・のがほとんどなのだが、

 

特に初期の作品は読みやすい。いわゆるタイトルが「地名」+「殺人事件」に

 

なってるものはどれも読みやすく書かれている。

 

中期以降の作品は面白いがちょっと読みにくくなっている。

 

読みにくいというのは私個人の感想で、政治や社会問題に関する内容が

 

多くなってきたからだ。

 

内田康夫さんは簡潔に物事を表現しない方で、なるべく読者にわかりやすいように

 

詳しくかく傾向にある。

 

私も同じである。一文で済む文章にあれこれ説明をつけて10行ぐらいに

 

してしまうのである。

 

『薔薇の殺人』はそんな内田さんにしてはとても簡潔に書かれている作品で、

 

それはそれはわかりやすくちょっと拍子抜けするぐらいである。

 

当然あっという間に読了してしまった。

 

この作品は宝塚歌劇団に関したことが書かれているが、多分に

 

女の園である宝塚の取材が内田さんには難しかったのかな・・と

 

思ってしまう(笑)

 

だからあっさりした作品になったのかな・・・。

 

ただ、その分読みやすさは抜群でした。ただ、最後が・・・あっけなかった

 

感が否めないです。

 

評価は★4.

 

内田康夫さんにチャレンジしたい方はまずは初期の作品かこの『薔薇の殺人』を

 

チョイスするといいかもしれない。

 

小難しい政治のことや社会問題のことはほとんど書かれていません。

 

純粋にミステリーです(笑)

 

ただ、ミステリーマニアの方にはラストがちょっと物足りないと感じるかもしれない。

 

光彦の閃きはいつも唐突だが、それにしても今回は本当にえ?と思ってしまう(笑)

 

でもストレスなく読める作品ではありますね。