今日は読書です。
本日はこちらの本。
『血塗られた神話』 新堂冬樹 幻冬舎文庫
私は野田商事という金融会社を経営している。いわゆる町金というものだが、いたって良心的である。返済できなさそうな人には貸さない、無理な取り立てはしない。それは私が以前勤めていた金融業者で私が無謀な取り立てをしたせいで客が自殺をしてしまったという苦い経験があるからだ。いまでもその客には申し訳ないと思っている。
野田商事の社員は私と副社長の井崎、取り立て担当の高山、おちゃらけた性格の木田、そして事務員のみどりだけである。
今内本という男が融資を申し込みにきている。散々話し合った結果、内本の経営する会社の電話回線を担保に融資を決定した。
ところがその内本が刺殺体で発見される。内本の携帯の発信番号から野田商事に警察がやってくる。刑事は私が以前客を自殺に追い込んだことを知っているため私を疑っているようだ。
そして数日後今度は内本の妻が刺殺された。
そんな中高山が黙って内本の会社に転職してしまった。私は高山が犯人ではないかと疑う。ところがしばらくしたある日高山から電話が入った。
話したいことがあるから明日会えないかと・・・。しかし待ち合わせ場所には高山は現れず、高山のアパートへいくと無残な姿で殺されていた。
そして犯人は私をも狙っているようだ。一体犯人は誰なのか?
うーん、ストーリーだけを軽くまとめると結構面白いんだけど、実際に読むと
結構読みにくかったかなぁ。。。
この作品は新堂さんのデビュー作なんですよ。だから文体とかがまだ
未熟なのかもしれないけど、この方は男臭い文体なので男性の読者さんが
多いのかもしれないとふと思いました。
あらすじには書ききれませんでしたが、私には昔付き合っていた京子という
女がいて、その女がなぜか内本名義のアパートの部屋に住んでいることに
なっているんですね。ところが京子も行方不明なんです。
聖母のような京子を私はずっとわすれられなく、京子の行方をさがすことも
この作品のストーリーの一部となってます。
新堂さんは確かミステリーというよりハードボイルド系だった気がするのですが、
この作品はミステリーっぽいですね。
犯人は誰か?って感じですから。
ちょっと文体的に読みにくかったけど、ストーリー的には面白い作品だとは
思います。
評価は★3~4.
別に文句のつけるところはないですが、
あ、ありました。(笑)ラストがあまりいただけなかったかな(笑)
でも、ミステリーとして読んだ場合は普通に面白い作品だと思います。
犯人の意外性とかはなかったですが、ちょっとこの人が実は?
みたいなところはありました。
新堂さんの作品ってちょっと裏社会的なものが多いんですけど、
実は新堂さん自身、作家になる前は裏金融で働いてたらしいです。
だからその筋の方に詳しいし、そういう内容の作品が多いんでしょうね。
文体の男くささもそういう経験から出てしまってるのかな?
と思うと同時に、純愛派なところがミスマッチで面白いですね(笑)