今日は読書です。

 

本日はこちらの本。

 

 

『未来』 湊かなえ 双葉文庫

 

10歳の章子のもとへ未来の章子から手紙が届いた。

そこにはドリームランド30周年記念の栞も入っており、この手紙が本当に未来から届いたものと確信できるものだった。

10歳の章子は父を亡くし、精神を病んでいる母と二人で暮らしていた。

母は人になるときと人形になるときがあって、人形になっている時のほうが圧倒的に長かった。母はマドレーヌを焼くのが得意で人でいる時はよくマドレーヌを焼いてくれていた。父が死んでからは彰子が母を支えながら生きてきた。

クラスには実里といういじめっ子がいて、彰子はなにかと嫌がらせをされていたが、そんな章子の味方になってくれたのは担任の若い男性教諭の林だった。

林は彰子のことを何かときにかけてるうちに母親とも知り合いになり、母親の世話をしきりに焼くようになる。そのうち林と母親の噂がたつようになりある日学校に呼ばれる。噂をたてたのは実里の母親だった。

そこで林と母親の関係を疑われ、林は母親に好意を持ってることを宣言するが、母親にはその気はなかった。林は体調不良を訴え学校へ来なくなった。

そんなある日、母親が働きに出るようになる。章子は心配したが、母親はホテルの厨房で仕事をすることになったらしい。そこで親しくなった早坂という男と母親と章子3人で出かけることが多くなり・・・

しかし、早坂の正体はとんでもない人物だった。

中学時代もいろんな困難にあいながらすごす章子だが、亜里沙と友達になり、さらに亜里沙の友達の智恵理とも友達になる。智恵理も家庭環境が良くなく、定時制高校へ行っていた。

母親と早坂はいったん別れたものの、母親は早坂の紹介で仕事をするようになっていた。それがまたとんでもない仕事だったのだ。

章子は早坂が憎くて仕方がなく、ある日亜里沙とともに早坂を殺す計画を立てる。

 

ボリュームのある本だったので、ちょっと読むの時間かかかってあらすじが

 

前後してるかもしれない(笑)

 

またちょっとまとまりないあらすじになっていると思う。

 

とにかく辛いストーリーですね。最初から最後まで辛いです。

 

最初に未来の自分からの手紙のあとはストーリーの半分くらいまでは

 

章子が未来の章子に書いた手紙で構成されてます。

 

そして後半部分は彰子の小~高校までに関わった人物、そして両親の

 

エピソードとなってます。

 

とにかく、彰子の学校時代も悲惨だし、エピソードも、幸せなエピソードは

 

一つもありません。

 

そして、それぞれの章でこれからどうなるの?的な終わり方です。

 

これぞイヤミス作品!っていうぐらい嫌な気持ちで読まなくてはいけない作品

 

です。

 

内容的には嫌な作品だし、嫌な人物ばかりでてきますが、ストーリーとしては

 

結構引き込まれるものがあると思います。

 

評価は★4。

 

これだけ人を不快にさせる作品もまた珍しい(笑)

 

女の嫌な部分はもちろん、人間の嫌な部分がずばずばと書かれており、

 

本当にまともな人物いないのか?って言いたいぐらい嫌な人ばかり

 

でてきます。

 

その中でエピソードⅡの小学校の章子の担任の女性教師の親代わりの

 

おばあちゃんの存在が癒しでした。

 

このお祖母ちゃんだけが本当にいい人で、エピソードⅡはちょっと

 

切なかったです。

 

この作品はデビュー作の『告白』からちょうど10年目に書かれた

 

記念の作品だそうですが、イヤミスの女王ぶりが遺憾なく発揮されていて、

 

これはこれで凄い作品だと思います。

 

もう読んだ後の後味の悪さは格別ですけどね・・・(笑)