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ヘルパーになって2ヶ月。実は…ずっと砂を噛む思いだった。



就職して2日目、やっぱり私を全力で否定し、潰そうとする人が現れた。 


『この人と同い年』
新人として、私が紹介される度に呼ばれた2ヶ月先輩の彼女は、敵意剥き出しに攻撃してきた。 



「辞めた方がいい」

「向いてない」

「邪魔」 

「あなたなんかに仕事は教えない」



『コミュニケーション』
と称して、他者の耳元に囁いて回る。



「…なあにアレェ~!(笑)…ったく、ワケわかんないでしょお~?!(笑)」



放置し、私の一挙一動を嘲り笑う。 
悪意を込めた作意的情報は私を孤立させた。 



笑顔の隙の真顔。
ヒラヒラする手の甲。
軽く開いた唇と揺れる頭。


勢揃いの湯気立つカップに残された私のカップ。 
間髪を入れずに注水される電気ポット。
冷蔵庫に手を掛ける私に向けられる笑み。
麦茶は私の食道と鼻孔を刺激し、三角コーナーに放り込まれる手製のおやつは私の喉を鳴らした。 



私にだけメッセージ性を持つ日常的な風景が、私を苦しめた。 



猫と戯れ、取り戻すように温かい紅茶を貪る日々が続いた。 
またブログが開けなくなっていた。 



緊張の糸が切れてしまいそうで怖かった。 



限界かも知れない…。 
私の弱さがむくむくと膨張し、体外へ出ようとしていた時、携帯にプレゼントが届いた。 



恐る恐る開いたブログの規則的なペタが目に染みた。 


私を支え続けてくれたブロガーさんからメッセージも届いた。 



私はまた救われた。 



そして昨夜、職場のスタッフから話があると誘われ、お茶に行ってきた。 



私だけしか知らないと思っていた『彼女』の行為がスタッフ全員認知の上、問題となっていた。 



この3日間、私と彼女を除いたスタッフで、改善に向けて遅くまで話し合いがもたれたらしい。



離婚調停中でうつを患っている彼女は、服薬を止めていたのが原因で不安定で攻撃的になっていたようだ。


「カノジョを刺激をしないように観察してたの。でも日に日に異常になっていくでしょ?アナタのオドオドした態度が増長させてるのよ。それがアナタのいけない所!」 



求めていた『いつか』は突然やって来た。 
信じていて良かった! 
黒い感情を相手にぶつけないで良かった…。
やっぱり努力は報われる。


皆様に感謝ですニコニコ
大きな存在に感謝ですニコニコ
私は元気になりました晴れ
ヘルパーとしての第一歩を踏み出しますo(^-^)o 



ケガもやっと完治♪



夏の間、悩まされ続けた電話も無くなりました! 



就職が決まってから、保証人問題で夫とギクシャクして、就職自体を諦めかけていたケド…何とかここまできました。 



人に迷惑を掛けないで生きるのってホント難しい。 


『保証人2』で敗北感を味わうとは思ってもみなかった。 



毒家族を捨てた私には、身元を保証してくれる人間は夫しかいない。 



友達には頼めない。 



交流のある義妹に頭を下げるしかないと思っていたケド… 



「それこそオマエには関係ない人間だろ」 



と夫に言われてしまった。 


「オレ達は兄弟だけど、オマエは他人だ。他人に迷惑を掛けるな」



脳裏で樹海がチカチカとした。 



どんなに穏やかな生活を送っていても、一瞬で奈落を感じてしまう私は、つくづく弱い人間なんだなぁって思う。 



『お世話してるんだから、これぐらいいいよね…』



自分に言い訳しながら、父の名前を借り『保証人2』を埋めた。 



敗北感。 



こんな偽物の『保証人』ですら、いなくなってしまうのは遠い未来じゃないと思う。 



『離婚』を前に焦燥にかられて病的な電話を掛け続けた『姉』の気持ちが少し解る気がする。 



同情はしないケド…。



もう『次』がないって痛いほど胸に叩きこんだから、今度は簡単に仕事を辞めたりしない。 
理想を追い求めるのは職場じゃなくて、自分の生き方だけにしようと思う。 



よし。 



初仕事、気合い入れて行ってきま~す!o(^-^)o 





また早朝に電話が鳴った。 


10年後か、もしくは緊急時に掛けると言った『姉』からだった。 



やはり何度取っても聞き慣れない声。 



10年間疎遠だった『姉』の声に懐かしさは一切ない。 


「死ね…」
「冗談じゃなく死ね…」
「本気で死ね…」



呪文のように囁き、私を追い詰めていた声と、妊娠直後からの猫なで声しか記憶にない。 



初めてに近い声だけに、無防備にも受話器へ軽快に名乗ってしまった。 



ひさしぶりに会う友人とのランチに浮かれて、判断が鈍ってもいたのかも知れない。



「フフフッ♪私です~ぅ」


??? 



「姉です~ぅ♪」



「……用件は?」 



「あのね…子供の頃の…」 


「あなたとは世間話も昔話もする気ないって言ったよね?それとも緊急の話?」


「そうよ。今、話して置かないといけない話なの。今から話すこと、ショックを受けないで聞いてね…」



「悪いけど、私の今の生活に関係なさそうだから、切るわ!」



「アンタにも関係ある話なの!落ち着いて。絶対ショックを受けないで聞いて!本当にショックを受けないでね…」 



………… 



「実はお母さんはね…若い頃、義父から性的虐待を受けてたの!!」



「だから何…?」



そんな過去は私には関係ない。同情なんかしない。 今の私には微塵も関係のない話。 



そんなコトが虐待や、自殺強要の免罪符にされては堪らない。 
4000万の保険金を詐取しようとした事実はどうしたって消えない。



淡々とした私の反応に、 『姉』は興味を失い、話の矛先を変えた。 



「その話し方…もしかしたら子供に虐待してるんじゃない…?
一度、きちんとした大学病院でカウンセリングを受けた方がいいわ」



「ご心配ありがとう。大丈夫よ!」



「ね。落ち着いて聞こう?ハルは悪くないの。私も悪くないの。悪いのは親なのよ!ね?」 



「虐待はしてないから」



『姉』はしきりにカウンセリングを勧め、昔話をしようとする。 



時間がないと電話を切ろうとしても話を止めない。 病的な執拗さで語りかけてくる。 



元酒乱で人間不信の父と、性的虐待の過去を持つ母。アルツハイマーの祖母。
霊感少女と噂される妹。 


マトモである自分だけが機能不全家族を支えてきたと苦労を語る。 



ここまで記憶がすり替えられるものなのか。 
怒りで体が震えてくる。



「家事全般は私がしてたよね?お金も入れてた。学校も自分の力で行った。家を出てからも、お祖母ちゃんのお世話を死ぬまで私はしたよ?お父さんの異変に気付いて病院連れてったのも私!会社の撤退も私が全部やって、私の方がよっぽど支えてると思うけど、あなたは何を支えてたの?!」 


「ね。落ち着いて話そう。実質的にはアンタが支えてたかも知れないけど、精神的に皆を支えてたのは私」



「…精神的って何?」



「おかしい家族の中でマトモなのは私だけ。小学生で背負わされた私の気持ち解る?でも、ハルは悪くないのよ。私も悪くないの」



ぜんぜん解らない。 



『バカが二人もいるとお母さんが悲しむから』 
というルールを押し付け、陥れるコトで母親の愛情を一身に受け、甘やかされて育った人間の苦労なんて、ぜんぜん解らない。 



もううんざりだった。 
ランチの時間に遅れる。 


「わかったわ。必要だったらカウンセリングを受けるから。ご忠告どうもありがとう。他に用件は?」



『姉』の用件はなくなったらしかった。 



「ではお元気で…」
私は電話を切った。 




予感がして、父に連絡をとるとやはり実家にも『姉』は病的な電話を掛け続けていた。 



どうやら離婚するらしい。 


だからしきりに『姉妹愛』を口にしていたんだよね? 


事故がきっかけで、夫との間に距離が出来ていた私にただ同調しただけなのかも知れないし、隙に入り込もうとしたのかも知れない。 


有害な親を排除するよう諭したように、私も『姉』を排除しようと思う。 



私たちは決して『同じ被害者』ではないのだから…。