PVLに対して、民間療法的な治療できちんと科学的に効果が確かめられているものは、ほとんどないと言われています。ちょっと古いですが、その中で、数少ない民間療法で科学的に効果があると示された鍼の論文です。


対象:脳性麻痺

治療法:鍼灸

 

出典: J Neurol Neurosurg Psychiatry 2004;75:1054–1057. doi: 10.1136/jnnp.2003.021485

https://jnnp.bmj.com/content/75/7/1054.short

 

題名: Randomised control trial of tongue acupuncture versus sham acupuncture in improving functional outcome in cerebral palsy

脳性麻痺の機能的転帰の改善における舌鍼と偽鍼の無作為化比較実験

 

 

概要

舌鍼の治療効果を確認するために、無作為化対照実験を行った。

(無作為化対象実験とは、試験を受ける患者自身は自分が治療を受けているのか受けていないのか、知らないまま試験を進める方法で、治療に効果があるのかないのかを確認するための最も確実な実験方法の一つです。)

33名の脳性麻痺児を2つのグループに分けて、22人が舌鍼治療を受けて、11人には舌鍼治療をする「ふり」をした。

 結果としては、舌鍼治療は、総運動機能測定法(GMFM)のスコアの改善に効果があった。

 

方法

舌鍼治療をするグループ: 人数22名、年齢3.5〜16歳、平均年齢 8.6歳。障害は、歩行可能 13人、部分的に歩行可能 9人、中程度の精神遅滞 3名、軽度の精神遅滞 6名、知的機能が正常な人 13名。

 

舌鍼治療をする「ふり」をするグループ: 人数22名、年齢3.5〜16歳、平均年齢 8.6歳。障害は、歩行可能 13人、部分的に歩行可能 9人、中程度の精神遅滞 3名、軽度の精神遅滞 6名、知的機能が正常な人 13名。

 

舌鍼治療

8週間にわたって鍼治療を実施。ただし、舌鍼治療をする「ふり」をするグループに対しては、鍼は刺さず、押し当てるのみとした。

 

結果

GMFM

治療したグループでは、平均値が78.82から82.99に4.17上昇した

治療をする「ふり」をしたグループでは、平均値が65.35から67.29に1.94ほど上昇した。

 

結論

脳性麻痺に対する鍼治療の初めての無作為化対象試験結果であり、鍼治療が運動機能の改善に有効であることが実証された。