3Dプリンタ第2弾です。
自分が想像したものを3D印刷で物体にするには、まずCADでそれを作らなければなりません。
無料で使えて、かつ、自分が必要としている機能を備えたCADを探しました。
レイトレーシングソフトにはバンプマッピングという機能があります。3DCADではディスプレースメントとも呼ばれます。
これは月面などの画像データを凹凸に変換して物体表面に貼り付けることをいいます。球に月面画像を貼り付けて、画像で暗いところを低い地形、明るいところを高い地形として凹凸を付けた月球儀を3D印刷した例もあります(明るくても低い地形はあるので、この高低差は擬似の凹凸なんですが)。
結局、バンプマッピングができる3DCADは有料のものしか探せませんでした。Fusion360というソフトなら1年は無料で使えますが商用利用は有償です。
せめて画像データを取り込んで表面に凹凸をつけることができる無料CADはないかと探していたら、その名もずばり、「FreeCAD」というソフトがありました。バージョンは0.18で開発中です。しかしとてもよい特徴がありました。完全なパラメトリックCADであること、Pythonコマンドコンソールでの操作互換であることです。パラメトリックというのはあらゆる場面で数値入力がきくということで、デザイン形状に数値で拘束条件を付帯させることができることを意味します。
FreeCADをインストールし、チュートリアル(練習問題)を4つほどこなし、基本操作を覚えます。
しかし、やりたかったSVGファイル(スケーラブル・ベクター・グラフィックス)をCADで使うには基本を学んだだけでは足りません。
ユーチューブを検索して見つけた方法が使えることがわかりました。
ファイル→ インポート → SVGファイル → SVG as geometly (ImportSVG) x 2回(底面用画像と頂点面画像)
ドラフトユーティリティ → ドラフトオブジェクトとスケッチャーオブジェクトをに相互に変換
スケッチャーユーティリティ → 頂点面の移動
パーツユーティリティ → ロフト機能で円錐台をソリッドで作成
大直方体から小直方体をくりぬいて皿状の物体を作り、円錐台群と和集合を作って完成させました。
これより前段の準備として、SVGファイル自体を作るのに、自作のチコデータベースから6等級より明るい恒星をアルニラムを中心に視野角14度で抜き出し、明るさに応じて直径を大きくして画面にプロットしました。
皿状の物体を3D印刷するときは、レジンの流れを意識しなければなりません。よくお吸い物のフタで経験すると思いますが、この形状が発生すると印刷物が底面に張り付いて落下します。
そう思って斜め15度傾けてサポートを付けて開始しましたが見事に失敗。
どう傾けても一時的な吸盤状の形状は避けられないのでサポートが千切れてしまいます。であればとサポート無しにしてしまって力づくで印刷することにしました。
小さなレジン流入口ができてしまいましたが全体としてはうまく印刷できました。
陶器のように白い醤油皿なら写真写りはよかったのかも知れませんが、あいにく今持っているのは透明レジン。ならばと透明を活かして下から光を当てればと思い、懐中電灯を当てるも、部分的に光るのでいまひとつ。
面光源を探したらスマホでできることに気が付きました。白い用紙を撮影してそれを表示、そこにこの「オリオン醤油皿」を置いて撮影しました。それが最初の画像です。
本当は自分で撮影したアンドロメダ大銀河をバンプマッピングした醤油皿「アンドロメダ大醤油皿」で、使って醤油が少なくなってくると「お、露光時間が増えてだんだん銀河の形が大きく見えてきたな」なんてつぶやく予定でしたが、今回は練習も兼ねてオリオン座で我慢しておきます^^。
反省点: 恒星は円錐台ではなく円柱でよかったか。
円柱ならロフト機能を使わなくとも押し出し(エクストルード)で楽に作れます。
最初は押し出しにテーパー(押し出し角度)項目があったのでそれを使おうとしましたが、FreeCADは開発中のせいかテーパー角度を入力するとエラーで形状が作れませんでした(もしかしたら円でなければ使えるのかも)。
そこで直径の異なる円を上下で繋なぐロフト機能を使ったのですが、写真を見ると円柱のほうが良かったかも知れないと思いました。