オランダの眼鏡屋さんが発明したという筒眼鏡(つつめがね)を自作して人類で初めて月や木星の衛星を詳しく観察した人の本「星界の報告」を読んでいます。

まだ天動説の時代において、自身によるクレータの観察から月の表面は凸凹していることを見抜いています。(当時はまだ月の表面は平らだと思われていた)
影のできかたから地球には無いような高い山があると高さを計算したりしています。
凹凸があるにもかかわらず輪郭が真円に見える理由を一番高い山でも4/1000(半径比)、山の連なりを地球という遠くから眺めればぎざぎざには見えないことも述べています。
月の輪郭がぼやけることについては、月に蒸気層があると推論したり(蒸気層はありません)、間違っていたとしても自分なりの根拠を持って報告しています。

昨日読んで感銘を受けたのは地球照(この言葉自体は出てきません)について。
月が細いときは遮蔽物を使ってその細い月を隠せば暗い部分の模様まではっきり見えると観察方法を述べています。
そして、満月の晩に地表が明るいように、月面で満地球を見たらとても明るいはず。
月が合、つまり新月の頃が深夜の月面にとって一番地球が明るく見えるときになる。
月が半月のときは地球も半月だったりするので、月明かりならぬ地球明かりも半減しているはず。などなど。
いろいろな観察(月食も)、実証を通じ、結論として、月の欠けた部分を照らしているのは広い宇宙で地球より他にないと断言し、金星が照らしているとか、月は半透明で太陽光が暗い部分まで透けている、とかいった他学者の諸説を退けています。

もうこの辺の正しい推察をできちゃう人だったので地球が太陽の周りを巡る地動説(コペルニクスさんが少し前に発表)なんて言われなくてもピンときてたんでしょうね。
木星の衛星を見て(ミニ太陽系が観察できた!)、確信に至ったに違いありません(地球が動くと月がその場に取り残されるという天動説軍の反論を、木星衛星が木星についていくのを見て封じ込めた)。
当時の学者達も百聞は一見にしかずで筒眼鏡で見せてもらって地動説はほぼ皆一致の了解だったみたいですね。
Wikipediaによるとローマ教皇庁ならびにカトリックが正式に天動説を放棄し、地動説を承認したのは1992年だそうです(←えええええええ\(◎o◎)/!)

まだ途中までしか読み終わってませんが、ガリレオさんの書いたものが読めるってすごいことだと思います。どう考えて結論に至ったかプロセスがこと細かに述べられているのも、読みにくさ反面、自分だったらこんな洞察が浮かぶだろうか?となかなかの刺激です。
私たちはその頃よりずっといい天体望遠鏡を持っていたり、ガリレオがスケッチのところを、一瞬で記録できるカメラを持っているのにきちんと考察できているのかな~って。
天文好きの人はみんな読了してるのかも知れませんが、久々に新鮮な本(400年前でも!)だったのでブログに書いた次第。