専用ICを使って乾電池1本1.5VのLEDライトを作ってみます。
前回のLEDライトと違って自作感がおおいに損なわれていますが(PCの組み立てみたいなもんでしょうか)、さすが専用IC安定感は抜群です。

専用ICを使ってLEDライトを作るときにもっとも時間がかかる作業はICの選定だと思います。
できるだけ小さく、そして長時間点灯でき、明るい、丈夫、など自分なりのこだわりを持ったLEDライトにしたいわけです。

DC-DC { boost | Step-up } Converter といったキーワードで検索するとたくさんのICがヒットします。
いま検索してみると当時はなかったような超低電圧駆動(0.02V)から2VをつくりだすようなICもあってびっくりです。

いろいろなICのデータシートをみて最終的に決めたのがAS1322BというICでした。
基本は1.2MHzでスイッチングするこの素子にインダクタ(発振用)やコンデンサ(平滑用)や抵抗(出力電圧設定)をつけるだけです。
なので前回の昇圧回路とはそんなに原理は変わりません。
ですが、このICのすごいところは0.85Vからでも起動でき0.6Vくらいまで電圧が下がっても出力電圧を維持できることです。これならエネループなど1.2V乾電池でも十分に性能を発揮できます。

当初から、このAS1332と周辺素子を小さな基板上に組み込み済みのものが売っていましたから人気のICだったのだと思います。
私の場合は基板が単四電池直径サイズでないと要件を満たさなかった(こだわり)のでICを買って自分で半田付けすることにしました。1.6x2.9mmという極小サイズでそこに足が6本出ているわけで半田付けするには手ごわい相手でした。

AS1322のデータシートから基本的な回路を抜粋


おすすめの基板パターンもデータシートから抜粋


シャットダウン回路はいらないのでばっさりカットして望みの用途に合うよう仕様を決めます。
これはテスト用に組んだものの写真です。ほぼ同じものが実物に組み込まれています。


筐体はアルミ棒からの削りだしでネジ切りしてもらい3つのパーツに分かれます。
LEDと回路が入る部分、電池が入る胴部分、電池端子バネ部分。
スイッチは胴部分がネジこまれたときに基板に触ることで実現しました。
LEDの周りは2次曲面になるように加工してもらい簡易ながらも反射板になっています。
設計だけ自分で行い、機械工作は知り合いの工場長に頼んでやっていただきました。


材料費だけで1200円以上、手間を考えるとかなり高価な、自分だけのオリジナルLEDライトの完成です。