気が付いたら涙が製造されていた。

 気が付いたら涙が零れてた。


 朝一番から。





 仕事場のお師匠サン(65歳)は

 正規の出勤時間より1時間以上早く出勤する。

 『社会にでれるひきこもり』もそれに続く。

 そして毎朝、2人だけであの場所を

 開園前に手入れをする。


 それが2人の習慣だ。



 今朝もいつも通りにあの場所に向かう。

 今朝もいつも通りにお師匠サンは手入れをしている。

 今朝もいつも通りにあいさつをする。


 でも、、違う事が1つだけ。




 『じぃチャンね、ガンになっちゃたんだょ。』




 お師匠サンが検査に行くのは聞いてた。

 その検査結果がガンになるのは聞いてなかった。

 

 お師匠サンの口から色々な言葉が零れてた。

 でも脳ミソはその言葉を理解してなかった。

 ただただ涙を製造するばかりだった。 



 今日、明日に旅立ってしまう訳じゃない。

 ちゃんとした事をすれば治るって分かってる。

 またお師匠サンは帰ってくるって分かってる。

 

 

 それでも泣いてたんだ。



 お師匠サンはいつでも太陽だった。

 『社会にでれるひきこもり』の仕事なんて

 箸にも棒にもかからないよぅなモノばかりだけど

 それをちゃんと見ていてくれた。

 そしてちゃんと認めてくれて誉めてくれた。



 そぅなんだ。

 ドアの向こう側にいる『社会にでれるひきこもり』を

 いつでも必ず温かく見守っていてくれたんだ。

 

 そぅなんだ。

 太陽を一時でも見失ってしまう。

 それが怖くて悲しかったんだ。



 きっとお師匠サン自身の方が

 辛くて怖くて悲しいはずなのにね、、





 昨日からずっと聴いてた

 ~本当の存在は 居なくなっても ココに居る~

 ~本当のありがとうは ありがとうじゃ足りないんだ~





 うん、きっとそぅなんだ。




 だからもぅ泣かない。

 泣かないで待ってます、お師匠サン。