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ある日の放課後、私は幼馴染みの愛佳に告白され、しかも無理矢理キスをされた
その時の心臓の速さと顔の熱さを今でも覚えている
告白されてから一週間ぐらい経った
特に私からあの告白について話すことはなく、あっちからも何も言ってこなかった
「志田、ちょっと来い」
先生は手招きをし、愛佳を呼ぶと「説教なら聞きたくないんですけど」と嫌そうに答えた
その態度に先生は何故か私に目を向けた
「はぁ…渡邉、志田に言ってやれ『課題をちゃんと提出しろ』って」
渡邉 「すみません。巻き込まないでもらえますか?」
「渡邉は志田の世話係だろ。後はよろしくな」
渡邉 「はぁ?ちょ、せんせ」
愛佳の事を私に押し付けると教室から出ていてしまった
深いため息を吐くと愛佳が顔をのぞきこんできた
その顔を見ていると次第にイライラしてきて私は愛佳を無視するように席についた
あっちも真似するように席について、話しかけてきた
志田 「ねぇいい加減さ告白の返事くれない?」
渡邉 「誰が返事するって言った?」
志田 「いいから早く返事ちょうだい」
渡邉 「好きじゃない。…これでいい?」
言われた通り返事をすると、思っていたより良い反応をされた
志田 「ふーん。そうなんだ」
渡邉 「なんで嬉しそうなの」
志田 「内緒。ちなみに明日の放課後空いてる?」
渡邉 「一様ね」
志田 「なら勉強教えて」
渡邉 「珍しい、頭でも打った?」
志田 「バカにするな」
その次の瞬間、何か思いついたのか「あ、そうだ」と声を出し私に笑顔を見せてきた
それにまたイラッとしてしまい、目をそらす
志田 「今度の小テストで満点取ったら本当の返事ちょうだいね」
渡邉 「本当のって…私言ったよね」
志田 「あんなの信じるわけないって。じゃそういう事だから」
渡邉 「どこ行くの、授業始まるよ」
志田 「サボってくる。またね」
ゆっくり手を左右に振って、どこかに行ってしまった。
途中、先生に呼び止められたような声が廊下からしたが教室に戻ってこなかったという事は先生に何かしらの嘘をついて誤魔化し、サボりに行ったのだろう
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志田 「さ、教えて」
手に持っていたのは数学の問題集。数学は苦手なのかな
ちなみに次の小テストは数学。もし苦手なら満点が取れるのか危うい所だ
愛佳はあんな事を言っていたがそれは自信だけだったのかもしれない
渡邉 「…小テストで満点取れるの」
志田 「うん。本気出すし」
愛佳の本気で満点が取れるのか信じれない
「満点取った所で返事はさっきのと変わらないと思うからね」と数学の問題集に目を通しながら言うと「さぁ、それはどうかなー」と何かを期待しているかのように言葉を返した
渡邉 「なんかムカつく。で、ここ教えてほしいの?」
志田 「そうそう」
渡邉 「ここはこの公式使っ、ん。」
真剣に教えてあげようと心を切り替えた途端にこうだ。愛佳はかなりのキス魔だ
「スキあり」と悪魔のような微笑みを見せつけられ、言い返したい気持ちになった
渡邉 「っふざけるなら帰るよ」
志田 「もうやらないから。で、ここは?」
渡邉 「そ、そこもこの公式」
先程の愛佳の行動に落ち着けない状態で居ると名前を呼ばれた
顔を上げるとニヤつかれていてその理由を問うと「べっつにー」と言いながら逃げるように問題を解き始めた
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「小テスト返すぞー」
薄い紙を何十枚も持っている先生は、その紙に書いてある名前を読んでいった
愛佳の名前が呼ばれ、ふと顔を見ると自信満々な表情を浮かべていた
先生の前まで来ると「志田、お前凄いな。満点だぞ」と小テストを返された
クラスの皆は次々に「わー」「凄いね」と口を開き心の中で私は、愛佳は本気を出せば常人並の力を出せるんだなと不満そうに呟いた
そして、休み時間にその小テストを見せびらかしてきた
「理佐、これ見える?」と煽り「嫌なほど見えてる」と苛立ちを声でアピールしながら言ってやった
志田 「ふふん。満点取ったから約束のあれ」
渡邉 「好きじゃない。はい、これで満足?」
志田 「好きじゃないって事は嫌いではないんだよね」
は?
志田 「だってそういう事でしょ。ストレートに嫌いって言えばいいのにさ、わざわざ好きじゃないって言うなんて、遠回しに嫌いではないって言ってるようなもんだよ」
渡邉 「…」
志田 「返す言葉もないって事はやっぱりそういう事なんだ。私の事好き?」
……。
好きじゃない、好きじゃない…
でも、愛佳の言っているように"嫌い"ではない
幼馴染みだからそういう感情はないって思ってた。
それはただの私の思い込み?
――自分の気持ちに素直じゃなかっただけで実は愛佳の事が好きだったって事?
渡邉 「…好き」
志田 「んー?」
渡邉 「好き。責任取って!」
なんか恥ずかしくなってきた…無理。
志田 「何の責任?」
渡邉 「わ、私が愛佳の事を好きになっちゃった責任」
志田 「責任、ね。分かった。責任取ってあげるからついてきて」
渡邉 「なんで、」
志田 「責任取るためにたくさん愛してあげるよ」
渡邉 「っ、もう。」
彼女に引っ張られ、誰も居ない教室に連れてこられた
イマイチ整理できていない私の気持ちをスルーするかのように愛佳に押し倒され、そのまま何度も何度も唇を交わした
今までに味わった事のなかった感情が混じり、それが本当の自分の気持ちだと分からされる
こんなに頭の中が『好き』でいっぱいになるのは初めてだった
"好きだよ、愛佳"
そう言って、素直になれなかった私にさよならをした