お久し振りでございます。
前回の記事に『つづく』と書いておきながら、月日は流れ12月も大分過ぎ。。
師走だというのに、私はまだ葉月の頃の話をしています。
皆様に於かれましても、あの蒸し暑い日々を思い出していただけたら幸いでございます。
トシちゃんのライブも間近になり、心ここに在らずで上の空な日々が続いていました。
一方、夫はというと、のおちんは分からなくても
さすがにトシちゃんは分かりますので「俺も行きたい、俺も行きたい!」と
駄々をこねていたのですが、結局仕事の休みが取れず悔し涙を流していました。
可哀想な夫。
私は「お土産買って来るからね」となだめすかしては機嫌を取り
休日前夜とあらば、行きつけのスナックへ連れ出すのでした。
その日もドアベルの音が妙に響く、重い扉を開けると
ママの「いらっしゃーい」という安定の声が聞こえました。
店内に目をやりますとお客の入りは7、8割ですが満席でした。
「いっぱいですね?」と尋ねますと
「今、詰めるから待っててねー」と来る者拒まずのママは必死で席を作ってくれました。
私は込み合った店が好きではないのですが、ママのその姿を見るともう断れません。
席に着いて間もなく、どなたかがカラオケに入れた
『恋するフォーチュンクッキー』が流れ始めました。
するとママ、「このコ踊れるよー」と私を引っ張り出し、ダンスを強要。
私は「管轄外です!管轄外です!」と叫びましたがママはお構いなし。
すると夫は私のダンスで洗脳されたのか、トシちゃんのライブに行けない腹癒せなのか
「よし、俺も踊る!」と非常に男らしい表情で立ち上がり、私の隣に並びました。
左から夫、私、ママ、ボーカルのギャル、と並んでいますと見知らぬオジサンが「俺も!」と
名乗りを上げギャルの隣にやって来ました。
私は瞬時に心の師匠、のおちんと脳内対話しました。
「楽しそうじゃん、踊っちゃいなよ!」と心ののおちん。
「そうですね、ここまで来て踊らないのはダンサー失格ですね」と私。
腹を括りました。それを踊ったことは皆無なのですが。。。腹だけは括りました。
まずは、一歩下がってママの踊りをお手本にしてみました。
踊っている回数が最多のママ、非常に上手いです。
慣れた頃、周りのダンスも見てみますと、オジサンもなかなか素晴らしい身のこなし。
あれは宴会などで披露しているレベル。笑顔も良かったです。
そして夫。なんだか楽しそうに踊っていました。
上手くは踊れていませんが、自己流のダンスで幸せそうな顔をしていました。
この日、歌の練習を封印して、ダンスに専念しました。
SPEED、MAX、安室ちゃん、東京パフォーマンスドール、モーニング娘。
EXILEにDAPUMPなど。。。全くもって管轄外なので、完全にイメージだけで踊りました。
それでも歌う人達は皆、気持ちよさそうに唄ってくれました。
ダンサーがいると場も盛り上がりますし、即席のダンスチームができ、それもまた一興で。
世の中には踊りたい人が結構いる、という事も判明して面白かったです。
汗だくでニヤニヤしておりますと、熱唱していたお客さんからダンスのお礼に…と
焼酎のボトルを2本頂きました。初めての報酬です。
時間は深夜を過ぎ、カラオケを楽しむお客さん達もいなくなりますと
私はやっと寛げるようになりました。
……勝手に踊っているので、やっとも何もないんですけれど……
いつものようにウーロン茶をがぶ飲みしていますと
ママも一仕事終えて、私たちの席へやってきました。
「今日はリーマルちゃんのおかげで盛り上がったわねぇ、お疲れ様」と
ママはグラスを突き出し、私と夫もそれに合わせて乾杯しました。
「だけど、良かったわね、ボトル2本も稼いでさぁースゴイじゃないの!」
ママはニヤニヤしながら私のグラスにウーロン茶を注ぎました。
「でも飲む係は夫ちゃんだもんねぇ、可哀想だから私がギャラだすわよ」
ママはそう言って奥へ引っ込み、しばらくして美味しそうな匂いが漂ってきました。
夫はその匂いを嗅いで「焼きそばか、焼うどんか、だね」とつぶやきました。
私も間違えようのない、ソースの香ばしい匂いにうなずきました。
そうこうしているうちに、お店も終わる時間に。
奥から紙袋を下げてママが帰ってきました。
「遅くなっちゃったね、お家で食べて」
ママは先ほど作っていた物をお土産にしてくれました。
「これで悪いけど、ギャラね♪」
「ありがとうございます」と紙袋を受け取りました。何だかずっしりしています。
「リーマルちゃん、何かあったらウチで雇うからね、踊り子枠でね!」
そういうとママはニヤニヤして私の肩を叩きました。
私もニヤニヤしてお会計を済まし、お店を後にしました。
家に着くと私と夫は、今日の楽しかった場面を振り返りました。
「お腹すいたね…そういえばママに貰ったの何だろね?」
私がそう言うと夫は「うーん、焼きそばかな」
「じゃあ、私は焼うどんにしとく」と二人で予想しつつ
紙袋からタッパーを取り出し開けてみました。
「お好み焼き!!」
焼きそばや焼うどんより、一手間多いお好み焼きが入っていました。
二人で顔を見合わせ「やられましたね」と敗北を噛みしめつつ
予想を裏切ってくれるママが可笑しくて爆笑しました。
それから、紙袋の底に忍ばせてあった
ウーロン茶(ペットボトル2本)の優しさがとても嬉しかったです。
あのママになら身を任せられる。
本当に立ち行かなくなるような事があったら、雇って貰おうと心に誓いました。
つづく。。。
夫がPCの前で「青だけは嫌だな、あれは無理だ…」とブツブツ言っていたので
何の事かと画面を覗き込んで、納得しました。
だけど、どうやって決めたんでしょうね。ジャンケン?くじ引き?
「お前、青な!」だったら可哀想ですね。
いや、率先して「俺、青やるよ!」という可能性もありますよね。気になるところです。