日本語教師は専門職か否か(2)
ある日、生徒さんとこんなやりとりがありました。
「先生、今私が通っている語学学校の田中先生(仮名)はすごいですよ!」「すごいってどんなふうに?教え方が上手なの?」
「いいえ。でも、田中先生は以前Y社の(名の知れた大企業)社員でした。」「へぇ。で、何がすごいの?」
「田中先生は東京大学の出身です。」
どうやら、東京大学出身でY社の社員だった日本人が、語学留学のついでにお小遣い稼ぎだかなんだかで、日本語を教えているとのことのようです。
ああ、またか。
ちょっぴり落胆。
そして、学習者側も教師を教え方などではなく、出身校などで評価しているのだなぁとがっかり。やっぱりこの国において、日本語教師は専門職とは呼べないのか...
「それで、その田中先生の授業はどうですか?」
「う~ん。田中先生の授業はおもしろいです。でも、時々よくわかりません。」
「わからない時はどうするの?」
「田中先生に聞いてもわからないから、前に習った鈴木先生(仮名)に聞いたり...。」
それを聞いて私はちょっとうれしくなりました。
彼の言う「鈴木先生」という方は授業メモや、先生が配布されたハンドアウトを見る限り、日本語教育を専門的に勉強したことがある方なのです。
素人の田中先生に聞いてもわからないから、玄人の鈴木先生に聞く。
いやいや、「鈴木先生」の授業の話を聞いただけで先生が「素人」じゃないとわかる私...
これって、日本語教師の仕事が専門職だってことなんじゃないか!!
やっぱり素人と玄人の間には歴然とした差があるんじゃないか!!
「でも、鈴木先生の授業は静かです。時々、眠くなります。」 これはその生徒さんのつぶやき...
そして、私の結論です。
日本語教師の仕事は専門職か否か?
答えはやはりYesです。
日本語に関する専門の知識がなければ、最後の最後に「この先生の言うことはわからないから、あの先生に聞く」と見放されてしまいます。 だから、日本語に関する知識は決して無駄ではないはずです。 でも、私たちが忘れてはいけないこと。それは日本語教師養成講座で一番に習うことでしょう。
-日本語教師は学習者のニーズに答えなければならない-
ニーズは学習者さんの学習目的や、その目的達成のための学習項目だけではありません。どんな教師を必要としているか。今はそれもニーズの一つだと思えます。
もし、この国の学習者さんが「学歴が高くて、有名な企業で働いている教師」を求めているなら、悔しいですが、それもニーズの一つなのかもしれません。
学習者一人一人のニーズにすべてこたえるのは難しいことです。ただ、ニーズに答えようとする努力は必要なことだと思うのです。
「楽しい授業を求めているなら楽しいゲームを取り入れる」「詳しい文法説明を求めているのなら、詳しい説明ができる」
日本語教育に関する資格ではなく、こういう柔軟性こそが、この国で求められている日本語教師の専門性なのではないかな...と思います。
だから、やはり私は声を大にして言いたい!
私は日本語教師のプロだ~!
素人と一緒にするな~!
今朝、同僚の素人日本人教師(失礼!)に「おはようございます!」と声をかけたとき、少しは気分も晴れたような気がしました。
文法の説明を求められてもできないあなたは素人!
私にはその説明ができる!
おもしろいゲームを楽しみにしてる生徒さんたちに答えられる私!
いつも翻訳を聞かせるしかできないあなたは素人よ!
そうです。私は専門の日本語教師なのです!!
でも、でも... あの先生のほうが給料が高かったりするん...
普通、専門職って専門性が高いほど報酬も高いもんじゃないの??
日本語教師の仕事って専門職なのでしょうか???
あなたはどう思われますか?
「先生、今私が通っている語学学校の田中先生(仮名)はすごいですよ!」「すごいってどんなふうに?教え方が上手なの?」
「いいえ。でも、田中先生は以前Y社の(名の知れた大企業)社員でした。」「へぇ。で、何がすごいの?」
「田中先生は東京大学の出身です。」
どうやら、東京大学出身でY社の社員だった日本人が、語学留学のついでにお小遣い稼ぎだかなんだかで、日本語を教えているとのことのようです。
ああ、またか。
ちょっぴり落胆。
そして、学習者側も教師を教え方などではなく、出身校などで評価しているのだなぁとがっかり。やっぱりこの国において、日本語教師は専門職とは呼べないのか...
「それで、その田中先生の授業はどうですか?」
「う~ん。田中先生の授業はおもしろいです。でも、時々よくわかりません。」
「わからない時はどうするの?」
「田中先生に聞いてもわからないから、前に習った鈴木先生(仮名)に聞いたり...。」
それを聞いて私はちょっとうれしくなりました。
彼の言う「鈴木先生」という方は授業メモや、先生が配布されたハンドアウトを見る限り、日本語教育を専門的に勉強したことがある方なのです。
素人の田中先生に聞いてもわからないから、玄人の鈴木先生に聞く。
いやいや、「鈴木先生」の授業の話を聞いただけで先生が「素人」じゃないとわかる私...
これって、日本語教師の仕事が専門職だってことなんじゃないか!!
やっぱり素人と玄人の間には歴然とした差があるんじゃないか!!
「でも、鈴木先生の授業は静かです。時々、眠くなります。」 これはその生徒さんのつぶやき...
そして、私の結論です。
日本語教師の仕事は専門職か否か?
答えはやはりYesです。
日本語に関する専門の知識がなければ、最後の最後に「この先生の言うことはわからないから、あの先生に聞く」と見放されてしまいます。 だから、日本語に関する知識は決して無駄ではないはずです。 でも、私たちが忘れてはいけないこと。それは日本語教師養成講座で一番に習うことでしょう。
-日本語教師は学習者のニーズに答えなければならない-
ニーズは学習者さんの学習目的や、その目的達成のための学習項目だけではありません。どんな教師を必要としているか。今はそれもニーズの一つだと思えます。
もし、この国の学習者さんが「学歴が高くて、有名な企業で働いている教師」を求めているなら、悔しいですが、それもニーズの一つなのかもしれません。
学習者一人一人のニーズにすべてこたえるのは難しいことです。ただ、ニーズに答えようとする努力は必要なことだと思うのです。
「楽しい授業を求めているなら楽しいゲームを取り入れる」「詳しい文法説明を求めているのなら、詳しい説明ができる」
日本語教育に関する資格ではなく、こういう柔軟性こそが、この国で求められている日本語教師の専門性なのではないかな...と思います。
だから、やはり私は声を大にして言いたい!
私は日本語教師のプロだ~!
素人と一緒にするな~!
今朝、同僚の素人日本人教師(失礼!)に「おはようございます!」と声をかけたとき、少しは気分も晴れたような気がしました。
文法の説明を求められてもできないあなたは素人!
私にはその説明ができる!
おもしろいゲームを楽しみにしてる生徒さんたちに答えられる私!
いつも翻訳を聞かせるしかできないあなたは素人よ!
そうです。私は専門の日本語教師なのです!!
でも、でも... あの先生のほうが給料が高かったりするん...
普通、専門職って専門性が高いほど報酬も高いもんじゃないの??
日本語教師の仕事って専門職なのでしょうか???
あなたはどう思われますか?
海外での日本語教師は専門職か否か(1)
私が日本語教師になってはやX年。
大学時代に学んだ日本語の文法や語彙、教授法に関する知識。
教師になってからも専門書を読み、せっせとセミナーに通いつづけてブラッシュアップ。
そしてX年間の教授経験。
私は私が日本語教師のプロであると自負しています!
実際、日本で日本語教師になるには養成講座420時間以上の受講や、日本語教育能力試験合格などある程度の教師としての資格があることが求められます。だから、日本で日本語を教えている先生方は自分と素人教師の違いなど考えたことはないかもしれません。
しかし...私の教えている某T国では毎日がこの疑問との戦いです。ここでの日本語教師は「専門職」と呼べるのだろうか...
ここT国では、教師として働くための就労ビザは、大学卒業の学歴がないと出ないため、実質的に日本語教師の資格としてまずは「大学以上の学歴」が必要です。ではその他の条件といえば...
それが皆無なのです。
日本語教育を学んだことがあるか、日本語能力試験に合格しているかなどということは二の次の問題。とりあえず、大学卒の日本語ネイティブであれば、たいていの語学学校で仕事があります。
ですから、街の語学学校には語学留学で来ている日本人や現地に嫁いだ日本人女性のアルバイト教師(もちろん日本語については素人)がわんさかです。語学留学中の学生が「卒業後はとりあえず、日本語教師でもしながら就職を探そうかと思ってる...」なんて話しているのを聞いたこともあります。
それは民間の語学教室の話だろう。大学や高校などではやはり専門の教師が求められているはず...みなさんはそうお思いでしょうか? 上にも書いたとおりT国は学歴社会です。大学で働くには博士の学歴が求められます。ここでは高校や中学の教師で修士をもっている人も珍しくありません。しかし、現在日本語教育で博士の学歴を持った人がどのくらいいるのでしょうか...結果、この国の大学の日本語学科には、日本留学帰りで修士以上の学歴を持っている人が日本語教師をしているのが現状です。聞けば、日本で心理学を学んだとか、歴史を学んだとか...日本語教育を学んだという方は少数派...日本人の場合はT国に大学院留学していて、そのまま残ったという方も少なくありません。
コンピューターエンジニアの仕事はコンピューターを学んだ人にしかできないのに...
医者の仕事は医学を学び、国家試験に合格した人にしかできない仕事なのに...
日本語教師は学歴さえあれば専門が何であれ、できてしまう。
日本人なら誰でもOK。ノンネイティブなら日本留学経験者。
こんな職業を「専門職」と呼んでいいのか。そしてこの問題を考えるたびに思うのです... 私の専門っていったい???
大学時代に学んだ日本語の文法や語彙、教授法に関する知識。
教師になってからも専門書を読み、せっせとセミナーに通いつづけてブラッシュアップ。
そしてX年間の教授経験。
私は私が日本語教師のプロであると自負しています!
実際、日本で日本語教師になるには養成講座420時間以上の受講や、日本語教育能力試験合格などある程度の教師としての資格があることが求められます。だから、日本で日本語を教えている先生方は自分と素人教師の違いなど考えたことはないかもしれません。
しかし...私の教えている某T国では毎日がこの疑問との戦いです。ここでの日本語教師は「専門職」と呼べるのだろうか...
ここT国では、教師として働くための就労ビザは、大学卒業の学歴がないと出ないため、実質的に日本語教師の資格としてまずは「大学以上の学歴」が必要です。ではその他の条件といえば...
それが皆無なのです。
日本語教育を学んだことがあるか、日本語能力試験に合格しているかなどということは二の次の問題。とりあえず、大学卒の日本語ネイティブであれば、たいていの語学学校で仕事があります。
ですから、街の語学学校には語学留学で来ている日本人や現地に嫁いだ日本人女性のアルバイト教師(もちろん日本語については素人)がわんさかです。語学留学中の学生が「卒業後はとりあえず、日本語教師でもしながら就職を探そうかと思ってる...」なんて話しているのを聞いたこともあります。
それは民間の語学教室の話だろう。大学や高校などではやはり専門の教師が求められているはず...みなさんはそうお思いでしょうか? 上にも書いたとおりT国は学歴社会です。大学で働くには博士の学歴が求められます。ここでは高校や中学の教師で修士をもっている人も珍しくありません。しかし、現在日本語教育で博士の学歴を持った人がどのくらいいるのでしょうか...結果、この国の大学の日本語学科には、日本留学帰りで修士以上の学歴を持っている人が日本語教師をしているのが現状です。聞けば、日本で心理学を学んだとか、歴史を学んだとか...日本語教育を学んだという方は少数派...日本人の場合はT国に大学院留学していて、そのまま残ったという方も少なくありません。
コンピューターエンジニアの仕事はコンピューターを学んだ人にしかできないのに...
医者の仕事は医学を学び、国家試験に合格した人にしかできない仕事なのに...
日本語教師は学歴さえあれば専門が何であれ、できてしまう。
日本人なら誰でもOK。ノンネイティブなら日本留学経験者。
こんな職業を「専門職」と呼んでいいのか。そしてこの問題を考えるたびに思うのです... 私の専門っていったい???
