むかしむかしの そのむかし の、もひとつむかし
あるところもさるところもなかったころ
おじいさんもおばあさんもだれもいなくて
やまもかわもなんにもなかったころ
なんにもなかった。
そこに最初にひとつの点が生まれた
なんにもないのに何から生まれたか
それは知らないけどね
とにかく
大きさも重さもないような
目に見えないような点だった。
そうしていると
あっちにほら こっちにほら
ほら ほら ほら
似たような点が
似てるけどちょっとちがう点が
ほら あっちにも
ほら こっちにも
そして あるとき
ひとつの点がもひとつの点に気がついた
あ、あんなところになにかいる、
そして
もひとつの点もきがついた
あ、あんなところになにかいる、
そう
この出会いがすべてのはじまり
はじまりのはじまり
気がづくやいなや点たちは思った
あーあの点といっしょにいたいよ
あーあの点といっしょにいたいよ
とお互いに。
そして点たちは駆け寄った
あーこうしていっしょにいたいよー
あーこうしていっしょにいたいよー
ちょうど
あなたとだれかさんのように
そう
この思いがすべてのはじまり
いのちといわれるものの
はじまりだ
そしてあっちでもこっちでも
いろんな点たちが
集まって 寄り添って
いろんな形を作りはじめた
いっぱいいっぱい集まって
いっしょにいられてうれしいうれしい
と口々言いながら
いろんな形をつくっていった
そう
いっしょにいられてうれしいうれしい
それこそが
いのちといわれるそのものだ
ほら、静かに目をつぶってごらん
あなたをつくるたくさんの点たちが
いっしょにいられてうれしいうれしいと
跳ねまわっているのが見えるでしょ
それがあなたのいのちのすがた
ほら、静かに耳をすましてごらん
あなたをつくるたくさんの点たちが
いっしょにいられてうれしいうれしいと
はしゃぐ声が聞こえるでしょ
あなたをつくるたくさんの点たちが
いっしょにいられてうれしいうれしいと
はしゃぐ声が聞こえるでしょ
それがあなたのいのちの音
うれしいうれしい それが水
うれしいうれしい それが空気
うれしいうれしい それがパン
うれしいうれしい それがわたし
うれしいうれしい それがあなたとあなたというもの
だから
どうぞ じゃましないで
あなたをつくる点たちに
心おきなく歌わせてあげようね。
だから
どうかじゃましないで
あなたをつくる点たちに
気のすむまで
いっしょにいさせてあげようね。
そして
いつか時が来たら
点たちはまた
最初の世界に帰ってゆくのだ
そして
またいつか
新しく出合うために