フィリップ・アリエス(1914年~1984年)フランス
中世・近世の社会を研究した歴史家。
主に、家族・子供・死をテーマにする。
著書に、「死と歴史」「人は死をどのように生きたか」などがある。
人類にとって、死は長い間、あまりに当たり前の出来事であった。
死にゆく者は、自分が死ぬことを知り、
最期が近くなれば準備を整えていた。
死はとても身近なもので、
特別なことではなく、
なじみ深く、親しいものであった。
例えば、村祭りのような恒例行事。
普通の人なら誰もが、一生の間に、
肉親・兄弟姉妹や親族、近所の人達の死を、
年中行事のように体験する。
人は病の床で死を待ち、
また、死はおおやけの出来事で、
死にゆく者の部屋は、通行人でも入室自由であったという。
子供たちも普通に死に立ち合い、
死についてに考えたりする。
死という話題は、避けるべきものではなく、
むしろ、死にゆく者との絆を確かめるような意味もあり、
死の床で話すべき話題でもあった。
現代、死が避けるべきタブーになったのは、
死を身近で体験しなくなったことが大きい。
特別な出来事になったしまった。
つづく