その頃、近所の酒屋さんが話していた。
「近頃、酒を買いに来る中学生がいる」と。
たぶん、どこかの家に集まり、酒を飲んでいるのだろう。
そういうことを放置している親が沢山いるということだろう。
中学生と云えば、ほぼ成人に近い。
私の親しい友人は、中3で女の家から学校に通っていた。
また、私の出身小学では、小5年同士が喧嘩して、
相手をナイフで殺している。
休み時間の校庭なので、生徒が多数見ていた。
私も校舎の2階から眺めた。
シェイクスピア劇で14歳は立派な大人。
中学も3年では、教師よりも賢い子もいる。
14歳という年齢は、成長の個人差が激しい。
ほとんど大人から、子どものような生徒まで。
発達の違いが大きい多様な個性たち。
それを狭い閉じられた空間で一律管理は不可能。
もし、可能になるなら、
無気力で従順な生徒にするしかない。
あるいは、そういう演技が上手な生徒に。
私も中学生の頃は、教師をバカにしていた。
人生のモデルにならない。
ただし、おもては従順に。
親が子育て放棄している家庭では、特に、
子どもは早く大人になるだろう。
チャップリンのように3歳で自立を強制されれば、
生きる力が自然と身に付く。
授業妨害するとかで塾で見た数名の生徒。
彼らが荒れている原因をつくっている中心だろうか。
私は、一見して、普通の生徒に思えたが。
管理だけを考える教育施設で、
従順でない生徒たちは、のけ者になるだろう。
社会から見捨てられた子どもたち。
それが、彼らの真実の姿。
彼らの多数は、高校でつまずくだろう。
そして、きちんとした仕事につけない。
彼らを受け入れる職は、いい環境ではないだろう。
彼らの将来を考えれば、
経済的に自立できるようにしてやるのが、教師や大人の務めだが。
現実、そういう正論は、通用しない。
彼らの中でリーダー的存在の生徒がいた。
背が高くハンサムでカッコいい。
卒業後の彼を、時々見かけた。
10年前、最後に見たのが、精神科の待合室。
見るたびに、生活が崩れていくのが分かる。
健康さが消えていく。
よい先輩はいないだろう。
悪い仲間はいっぱいいるが。
自己弁護になるが、私に、それだけの時間がない。
そして、一人で可能なことではない。
対象は数名以上。
ボランティアで精神障害者を個別支援した経験がある。
約17年付き合った。
平均して毎日1時間近く、かかわっている。
しかし、人を変えることはできなかった。
彼が生きやすいように、少し援助しただけ。
人が人を変えることは、簡単でない。
理解しあうことも難しい。
たぶん、多くの人が関わらなくてはどうにもできない。
つづく