長い一生の間で、

刃物を突き付けられたことが2回ある。

一回は、大学時代、自室で口論中に。

相手は有名な人物。

 

一回は、社会人となってボランティア中。

長年支援している精神障害者が相手。

その頃は、危険を予期して、

いつも最悪事態に備えていた。

ある時は、お腹に何重にも新聞紙を巻いていた。

 

相手がどの程度本気であるかは、

だいたい分かる。

だから、いつも平静。

多分、彼は、「こいつはどうして平気な顔をしているのか」

と思ったはず。

 

隙を見せたら終わりなので、

いつも平静。悠然。

 

一度は、小4の女の子を虐待している場に出くわす。

内縁の妻の子。

顔などに痣があり、児童相談所が何度か強制的に保護する。

 

家の中で刀を振振り回すので、

何度も警察のやっかいになっている。

自室は刃物だらけ。

そういう男。

 

彼の部屋を訪れると、虐待の最中。

「やめろ」というような声かけをすれば、

なおさら、暴行は酷くなるだろう。

私は、どうしたらいいか、分からない。

 

なので、帰ることにした。

階段を下りて、帰る様子を見せる。

 

すると、虐待は終わった。

 

彼の虐待は、私に見せるためだった。

 

私が帰れば、やる意味がなくなる。

だから、彼はやめた。

 

最高の選択だった。

私のボランティアはいつも、こんな感じ。

 

いくら考えても、いい考えは思いつかない。

しかし、何かしないといけない。

それが、ボランティア。

時に、イノチの危険もある。