世の中、飢えて死ぬ人も多い。
奴隷として売られる子どもたちも多い。
ある日突然、家を壊されたり、土地を奪われたり、
政府に文句を言っただけで重罪で投獄。
そういう人たちは無数にいる。
そういう非道な扱いを受けている人たちを
弁護したり、報道で知らせたり、
そういうことをすれば、投獄される。
世の中は、そういう理不尽で満ちている。
人権という理念がうまれるのは当然だろう。
アムネスティを始めたのは、
最初に妻が会員となり、毎月のニュースレターを読むにつれて、
私も強く引き付けられた。
日本、異質な人を排除する社会習慣がある。
障害者やマイノリティの存在は陰に追いやられている。
社会に不要な存在。
皆が中流という生活意識(これは現在、消えつつあるが)。
学校で、企業で、地域の集団で
異質な人は煙たがれる。
自由に意見を表明する場は、どこにもない。
異見というのが、そもそも嫌われる。
上に立つ人は、反論を許さない雰囲気。
それが権威や威信。
日本で人権が広がらないのは、当たり前か。
人権というのは、個性の自己主張を認めること。
それなりの待遇を求めること。
例えば、吃音の人は、
しゃべり始めたら、周囲の人は黙ってしゃべり終わるまで待つ。
どんなつまらないことを言おうが、
じっと我慢して待たせる。
それが社会的配慮。
効率やスピードは不要。
時は金ではない。
ゆっくりはいいこと。
できるだけのんびり。
人権は、効率一辺倒の一元的基準の社会に馴染まない。
お金や富が過剰に崇められる社会に反する理念。
たぶん、中国のような権威主義の社会で、人権の居場所はない。
つづく