26歳で結婚した。

フリーターの身分で「娘さんを下さい」という挨拶が難しい。

妻の親は校長で堅物。

 

きちんとした定職の必要。

運良く、親戚の紹介で商工会議所に就職が決まり、

ようやく、結婚の決心がついた。

とてもラッキー。

 

結婚式のお金はない。

そこで、会議所の大会議室を無料で借りた。

勿論、専務が媒酌人。

会場はかなり広い。

 

人を集めないと、恰好がつかない。

付き合いのない人まで案内状を配った。

迷惑な結婚案内状。

なんとか、60名を超えた。

親戚は20名以下。

 

一人2000円の会費制で行う。

結局、費用はいくらか黒字。

新婚旅行も結婚指輪もない新婚。

会場の飾りつけは妹と友人がやってくれた。

 

クリスマス前日に開き、

記念日は、平成時代に祭日となる。

これもラッキー。

 

夕方5時からキャンドルサービスで開始。

「神田川」が流れる。

お開きは、9時頃。

約4時間。スピーチと伴奏なしの歌。

出席者は順番が3回回ってきた。

花婿の私だけが、かなり酩酊。

その夜、遠方からの友人たちと付き合うこともなく。

あきれた振る舞いだった。

 

式の明くる日は引っ越しの片づけ。

雪が舞い散る中。

「花嫁」の歌詞のように、妻の荷はカバン一個。

 

つづく