年取ると、若い頃に思いもつかなかったことに興味をもつ。
例えば、料理、これがおもしろい。
自分の好みの味で色々なものが食べられる。
そして、意外にも時間はかからない。
生活が格段に豊かになる感じ。
例えば、髪のカットも、
独りで簡単にできるようになる。
時間もかからない。
好みのスタイルができる。
私は、若い頃、活動と政治にしか興味がなかった。
世の中を変えようとする思い。
中年になり、学校の勉強にも関心を抱くようになった。
そして老年は、別の生き方。
愛も、年齢と共に、様々に変化する。
対象は同じでも、愛し方は変わっていく。
初恋は忘れがたい。
あのトキメキは得難い思い出。
しかし、相手の顔などの特徴は思い出せなくなっている。
その頃、自分が抱いた強い思いはいつまでも残っているが。
中学3年の頃のこと。
休み時間になると、渡り廊下に出て、彼女を探した。
ひと目みるだけで、その日は充実。
一学年下なので、校舎が違う。
何故、彼女を好きになったのか、理由は分からない。
過去体験の何かが関連しているのだろう。
理由は不明でも、一目惚れは強烈。
しかし、具体的なアプローチは全くしていない。
ラブレターくらい出しても良かったと思うけど。
その頃の私は、自分の思いだけで満たされていた。
彼女が同じ校舎の中にいるという事実だけで、
充分に満足していた。
初恋はそんなものだろう。
まだ、異性関係に入る前の、あこがれの段階。
その後、人生体験を重ねて、
異性関係を知っていくと、
愛がより具体的になっていく。
収入や子育ても愛に加わっていく。
愛が重層的で複雑になっていくのが普通の愛し方。
老齢になれば、セックスも不要となり、
プラトニックな関係に。
最後は精神性だけが残るのだろう。
愛は変わっていく。
人生と同様に。