ヒトの意識は眠りと覚醒を繰り返す。

眠りのとき、脳は眠っていない。

脳は常に目覚めて、24時間休みなく働く。

睡眠時の脳は、蓄えた情報の整理に忙しい。

時に映像の夢となる。

 

目覚めは一瞬で完成する。

心身は一瞬でスタンバイ。

まるでスタートを待っていたように準備万端。

これも脳が眠っていないから。

 

ノンレム睡眠中、筋肉系の緊張は低下。

しかし、

覚醒時、筋肉・運動系は一定の緊張が保たれている。

いつでも動ける状態でスタンバイ。

 

成人の人体で過度の緊張は異常。

過度の緊張は円滑な動きを妨げる。

吃音者が話すときが典型。

 

赤子が行動を学んでいるとき、

筋肉系は各部がバラバラの状態から、

まとまりある行動へと統合される。

行動が完成すると、不要な緊張はなくなる。

 

例えば、自転車の練習。

最初は何度も転ぶが、すぐに慣れてくる。

慣れると、一連の動作が自動的に行われる。

もはや、意識にのぼることもない。

筋肉系の緊張はなくなり、

自然に行えるようになる。

 

人の成長とは、

このように緊張がなくなっていくこと。

 

私の吃音体験は約40年。

吃音が治り、一番感動したのは、

しゃべりながら、同時に平行的に考えられること。

次に何をしゃべるか、考えられる。

 

吃音者は、普通、これができない。

しゃべること、口から声や言葉を出すことに全エネルギーを使う。

何をしゃべるのかは、二の次になる。

 

従って、前もって予定していたことの10%しか話せない。

口から言葉を出すのが精一杯。

それさえも、うまくできない。

 

続く