人の意識は、どのようにして生まれるのか、について考えている。
意識が鮮明になるには、
脳の記憶情報が一定以上になるのが条件だろう。
過去の体験(感覚情報)が積み重なっていく。
感覚情報の中心は、皮膚からの情報。
生きものは、外界から身を守らないと生存できない。
表皮のバリアーが不可欠。
その役目は、皮膚が行う。
免疫機能や傷の修復機能など色々ある。
脊椎動物の表皮のバリアーが確立されたのは、
両性類、約3億年前という。
単細胞生物の細胞膜が進化して、
多細胞生物の表皮となっていく。
表皮は、周囲の環境の変化を感じ取るセンサーでもある。
最古の生きものは、水の酸性・アルカリ性の度合いや塩分濃度を感知。
その後、表皮は、圧力、温度、光などを感じるようになり、
神経網が複雑化、
情報が膨大となり、処理専門の器官として脳のような中枢が誕生した。
人の表皮には、音や光を感知する聴覚や視覚の能力があると言われている。
人の皮膚は、体毛やウロコがない。
むきだしで環境に向かう。
そのため環境の微小な刺激も感知可能になった。
他の生物に比べて、格段に大量の情報を収集できるようになった。
ヒトは体毛をいつ失ったのか、
遺伝子解析で、その時期が分かるという。
「皮膚感覚と人間のこころ」新潮選書によれば、
体毛を失えば、太陽光線から皮膚を守るために、
メラニン色素が不可欠となる。
黒い皮膚を生み出す遺伝子を調べると。
だいたい、120万年前らしい。
遺伝子解析というのは、すばらしいスキル。
ハダカになった人類が、
寒い環境に適応するために衣服をまとうようになった。
この時期も、遺伝子解析で分かるようだ。
シラミの研究による。
サルにつくシラミは一種類。
しかし、人のシラミは2種類。
頭と衣服につく。
衣服のシラミは、当然、人体から養分をもらう。
このシラミの遺伝子解析で、
頭ジラミとコロモジラミの別れた時期が特定できる。
10万7000年前だという。
まさにその後、人類はユーラシア大陸に拡散していった。
寒冷の環境に耐えるようになった。
つづく