昨日のQuoraの質問。
「賢い人間のみで構成される社会は実現しますか?」
私の答えは下記。
身も蓋もない回答になりますが。
賢い人など、この世にいません。
人はどんなに努力しても賢くなれません。
死ぬまで愚かなままです。
まず、一生の間、自分が何だか分かりません。
当然、周囲のことも分からないままです。
過去もはっきりしません。未来など、夢の夢です。
上記の答えは、簡単すぎるので少し追加すると。
ヒトは700万年前に誕生し、
小集団で生き延びてきました。
最大でも100名くらいの集団です。
その中で、助け合って生きてきたのです。
ヒトの脳の処理能力は、その程度のものです
各人は個性があり、
非常に異なっています。
互いの感情や欲や利をすり合わせるだけでも難事です。
相互理解も、表面的で非常に偏っています。
合意し納得できるとしても、あやふやです。
言葉が発達し文字ができても、
抽象化した概念では、正確に伝えるには限りがあります。
人は、皆、例外なく、一生かかっても自分が何であるか、分かりません。
瞑想すれば、よく分かります。
どのように自分・私・自我がつくられてきたのか、
胎児や幼児からの成長過程を思い出してみれば、分かります。
詳細に説明できる人はいません。
どうして、好みや個性が生まれたのか、理解するのは不可能です。
人生の無数の決断の意味も、はっきりしません。
その時、その場での一時的な流れというだけです。
本質に至るのは無理です。
人の能力は、その程度です。
どんな優れた人でも、家庭内に問題があります。
ほんの10名程度に過ぎない、家族関係さえもうまくできないのが人です。
人は本質的にバカです。
一生の間、バカです。
こういう人間が、偉そうに威張っているのです。
例えば、地域自治を考えてみます。
100名から1000名くらいの地域自治です。
互いに、顔を知り、個性も知り合うことが可能です。
このような小さい集団でも、自治がうまくやれるには、
非常に高度な仕組みが必要です。
まず、集団全体の各人の個性を把握できる能力ある数人の人たちが必要です。
それらの人たちがたっぷりと情報交換できる仕組みも必要です。
また、仲良しのグループが乱立するでしょう。
そのグループの中心にいる人々が、各々、グループを超えて、
情報交換する仕組みが必要です。
集団の中で、何かを決めるときには、
全体の合意にいたる、各レベルの合意形成の仕組みも必要です。
合意は、各人の無数の納得の積み重ねです。
納得は、個人的なもので、表層しか現れません。
こころの内部で、どの程度納得しているのか、
それも、ある程度、評価できる人が沢山必要です。
各人の周囲にいる人々です。
各グループの間のもめごとを
どのように円滑に解決するのか、
それについても仕組みが必要です。
上記の仕組みが、民主主義のシステムです。
このシステムを有効に働かせるには、
長い間の訓練や失敗が必須です。
たぶん、幼児からの体験が不可欠です。
学校など集団教育で学ばなくてはいけないことは、
この訓練です。
小学からクラス自治を実現し、
中学ともなると、学校全体の自治ができるようにならないと、
体験したとは言えないでしょう。
学校の主人は生徒です。
先生や教師というのは、
リーダーにはなれません。
できるのは助言や支援や補佐だけです。
日本の今の大人たちは、こういう訓練を経験していません。
民主主義についての実体験がありません。
民主主義は、集団の個々人が
間違いながら、自治を実現していくことです。
構成員は基本的に愚かです。
愚かな人々が集まって、わいわいしながら、
やっていくのが民主主義です。
馬鹿も集まれば、少しはマシになるというのが理念です。
人の世に賢い人はいないのですから、
これしか希望はないでしょう。