「人は死ねばゴミになる」伊藤栄樹著

随分思い切った・大胆な題名である。

 

私のような小心者には書けない。

著者の自負心が伺われる。

 

副題は「私のがんとの闘い」

がんの闘病記。

 

執筆の動機は、

後に残る家族のため、親しい友人のため、

私の発病から死までを努めて冷静、客観的に書きとめておこう、

こうして病室に閉じ込められている身の上では、

それ以外に意味ある仕事もできそうにないから、という気になった・・・(本文より)

 

発病から死の直前までの日記である。

 

死んだらゴミになるとは、すごい表現。

私は、そこまで思わない。

 

死はない、というのが私の意見。

何故なら、死の直前で意識を失うから。

死を体験することは、人なら誰もできない。

 

それに加えて、私や自分や自我も、人にはない。

人にあるのは、周囲からの借り物である意識。

オリジナルなものは何もない。のが真実に近いだろう。

人は死にたくても、死すべき私はどこにもいないのだ。

 

しかし、読み終わって、

私は、元気をもらえた。

いい本だと思う。