人の能力や性質や形質で、優劣を判断することは間違っています。

 

例えば、駆け足の速さは、人により早い・遅いがあります。

計算の速さも早い・遅いがあります。

体力テストは可能です。IQという知能検査もあります。

しかし、人間性や人格などの総合的な評価は不可能です。

なぜなら、人の能力は多様で、その多くは外面に現れないものだからです。

 

私は、人は皆、例外なく、死ぬまで愚かなままだと思います。

人の知性は限界があるからです。

自分の意識下の世界まで把握している人はいません。

行動の動機などは、自分でも分からないのが普通です。

 

知能は少し劣るが、いつも笑顔で満ち足りている人がいます。

また、知能は高度だけど精神的に不安定な人もいます。

人は非常に多面的です。一つの基準で測ることは不可能です。

たとえ、基準を1000項目にしても、まだ、測ることはできないでしょう。

人の場合、個性や特性が特に激しいです。

簡単に言えば、全ての人は、天才か異常者です。

比べることはできません。

 

私の長女は、32歳で脳内出血。

その後遺症で半身麻痺と高次脳機能障害で、障害1級です。

発病前は、成績が良く、理屈が巧みで、プライドの高い人でした。

要するにストレスの多い人です。

発病後9年、日常生活は自力では何もできません。

左脳はほぼ死んでいます。右脳だけで生きています。

しかし、毎日好きなことだけして、ストレスもなく幸せそうです。

親として、病前と病後の、本人にとって、

どちらが幸せだろうと思います。判断できません。

しかし、はっきり言えることは、

娘は病気になったことで、確実に親を幸せにしてくれました。

これだけは、疑いようもありません。

能力が低下しても、人を幸せにできるとは、すばらしいことです。

能力ある人でも、人を幸せにできない人はいっぱいいます。

 

73年の私の経験から言えることは、

人は比べられない、ということです。

優劣などは、人にとって無意味です。

役に立たない概念です。