感情と理性、どちらが賢いだろう。

 

多くの人は、感情は理性に従わなくてはいけない、と思っている。

特に、教師はそういう信念の人が多いだろう。

子どもは理性が育っていないから、感情に負けるのだと。

 

人間の脳を考えてみる。

感情は古い脳と言われる。

理性は新しい脳。

新しい方が優れていると。

 

心理学の実験には、

理性がものごとを決める前に、すでに感情が決定しているという実験結果が多い。

 

理性の働きには、ものごとを結果論で解釈する傾向がある。

理由づけ、いいわけ、結果から見れば、ものごとは何とでも解釈できる。

 

また、理性は、ものごとのシュミレーションに使われる。

獲物がどのように逃げるのか、どこに待ち伏せするばいいか。

過去の情報を整理して、未来の予測をする。

 

理性は、多くの情報を整理するのに使われる。

情報の取捨選択。

 

古い脳である感情は、理性からの情報もそのまま取り入れている。

さらに、本能や体感情報や多様な感性を入れて、総合的に記憶していく。

 

実際、ものごとの判断には、感情の方が優位にある。

感情が最終的に決めている。

 

もし、感情に逆らうような判断をすると、

様々な症状が出てくる。

ストレス、落ち込み、不安症、うつなどの精神症状。

また、身体にも変化が出る。

病気にもなりやすくなる。

 

心理学の実験でおもしろいのがある。

全く同一な生活日課で暮らしている、尼僧院の方たちを実験したもの。

 

心理調査で、楽観的で社交的性格のグループと

悲観的で内気な性格のグループに分けて、

腕の皮膚に同じ大きさの傷をつけて、
どのように自然治癒するのか経過観察した。
 
すると、楽観的で明るいグループの治りが有意に早かったそうだ。
 
人体の自己治癒力さえも、感情に左右されているようだ。
明るい性格の人の方が、病気の回復力も大きい。
 
理性は健常だが、感情を扱う脳機能に障害がある人は、
ものごとが決められなく、自立した生活ができない。
何よりも生活を楽しむことができない。
 

一方、感情は健常だが、理性に障害にある人は、

個性が強すぎて社会生活に難はあるが、ものごとは決められる。

生活を楽しむことも可能。

 

人は経験を重ね、脳が成長していく、

脳の成長とは、感情の成長に他ならない。

ものごとに対して、一瞬の直感で判断できるようになっていく。

理性を制御した感情の発達のお陰である。

 

よくある質問。

遊びたい気持ち(感情)と、勉強するべしという理性。

どちらを選べばいいのか。葛藤場面。

 

この場合、勉強について、感情の強い反発がある。

解決には、科目を変えるか、勉強のやり方を変えて、

感情が欲するような方向に向かうしかない。

現状での勉強はイヤだと感情が言うなら、それに従うしかない。

 

本来、人が学ぶのは、生まれながらの本能。

楽しい・うれしいから学ぶものなのだ。

勉強がイヤというなら、勉強のやり方の方に問題があるのだ。

そこを変えないと、先に進めない。