昨日、「じっと手を見る」窪美澄著を読み終えた。

直木賞の候補作。(今年4月発行)

 

介護士として働く20代の若者たちが主人公。

ケアマネージャーの資格をとり、さらに、

働きながら大学に行き、

社会福祉士となるのが目標。

 

たとえ社会福祉士となっても、

福祉の仕事をしている限り、豊かな生活は望めない。

仕事はきつい。

しかし、淡々と生きている。

 

夢がつつましいね。

何が楽しくて、そんな仕事をしているの。

多くの人が、そんな感想を抱くだろう。

 

今朝の新聞にも、

親や兄弟の介護をする10代の若者たちについての記事があった。

全国では、相当な数になるらしい。(数万を超える数らしい)

イギリスでは国家的な問題になっている。

 

親族の介護をしながら、学校に通う。

当然、勉強できる環境ではない。

大学進学も諦めざるをえない。

 

小説の介護士たちは、そこまでの苦労はない。

彼らが生まれ故郷を捨てないのは、

家族とのつながりが強いためか。

 

地域社会に若者の働く場が少ない。

日本中、どこも同じ。

 

少し前までの日本なら、

就職するのが当たり前だった。

つまり、正規雇用の受け入れがあった。

 

今、大企業は新規採用を毎年減らしている。

中小企業は廃業が増えている。

労働がきつく、給与が少ない職場は、若者が嫌う。

(この傾向は中国や韓国も同じ)

 

働くことに生きがいを求める、

これからの若者は、自分で起業するしかない。と

私は思う。

 

しかし、起業の世話をする大人たちの多くは、

サラリーマン。

立場が全く違う。

 

本当に世話ができるのか、

疑問に感じる。

 

地域社会に課題はいっぱい。

それらの課題に取り組むビジネスが

求められているのだが。