1982年3月出版の詩集「あいとゆめ」から

 

青春

 

力いっぱいのスピードで坂を登ると

丘の上に出た

 

正面の山頂に

まあるく大きな

真っ赤な太陽が沈む

 

うるんだ瞳を

赤くはらせて

燃えるまなざし

 

無謀な輝き

 

私は飛び込んでゆく

空想の翼

憧れの羽を広げて

 

夕陽に

身を投げる

 

青春をともに生きた

懐かしい友だちが

ほほえみで

私を誘う

 

ベートーベン第七

第四楽章が響く

赤い夕陽の

目くるめく

きらめきの中に

私は今

全力で

突入する

 

1973年春