有名企業の不祥事の話題が尽きない。

破綻した企業には、共通点があるようだ。

 

破綻企業と業績好調企業の計13社を対象にして

87名にインタビューした詳細な事例研究が本書。

「衰退の法則」小城武彦著

 

現状、どこにも問題なく、うまくいっているように

誰もが思える。

そういう組織、企業であっても、

事業環境や経済情勢、もっと身近な地域社会との関係、

取引先の内部問題など、対外的問題はいくらでもある。

 

組織内も、各人の意識や体調の正確な把握は難しい。

 

日本人に特徴的に見られる、

内部協調的態度。

和をもって貴しとなす。

過度な自己主張は大人の態度ではない。

周囲の空気を読んで同調する態度。

出る釘は打たれる。

周囲から求められる役割を果たす。

 

上司の指示は、

「しっかりやれ」

「よく調整し、社内をまとめろ」というような

無内容な要請が多い場合は、上司の能力に問題あり。

 

愛社精神はとても高いが、

能力よりも立場が優先される、

社内の話題は、人事情報ばかり。

 

組織内での信頼、組織外からの信頼、能力や技術、

この3つのバランスがない、

組織内の信頼のみ優先する。

 

出世するほど、裁量が大きくなり、

大胆な挑戦や改革ができるから

責任増大、つまり、忙しくなるはずが、

無駄な付き合いが増えて自由がなくなる。

 

組織内のミドル管理職の

主な働きは、社内調整プロセスであるが、

幹部の意向への忖度が強く、

自己主張にブレーキがかかる。

良い意見であっても抑えてしまう。

出世できなくなるからだ。

 

社長などリーダーの仕事は何だろう。

一つ、先を見通す能力。予見できるかどうか。

    将来が分かれば、現状の問題点が容易に判明。

 

一つ、部下たちの間のコミュニケーションを活発化できるか。

    能力ある部下を見出すには、組織内のぶつかり合いを奨励するしかない。

    対立や喧嘩がおこれば、人が見えてくる。
 

一つ、部下たちに求めるのは愛社精神ではなく、

    一人ひとりが組織を背負う責任感。

    自分の部署、自分の担当だけではなく、常に全体を見ていること。

    他の部門にも関心をもち、おせっかいができること。

    つまり、組織全体を背負っているという強い意識。

 

一つ、リーダーは、対外的な無駄な儀礼には参加しない。

    無駄な付き合いもしない。

    例えば、社が主催する催しは、担当者が社を代表し社長の代わりに。

    何々式典なども、担当者が出る。

    

    例外として、社長が出席する必要のあるものは。

    例えば、社長の講演会。社長がレクチャーを受ける勉強会。

    社長自ら参加しないと進まない会合。代理ができないもの。

 

リーダーは、つまらないことに時間を使ってはいけない。家庭サービスは除くが。

 

社長が、新製品発表や、新工場完成、新技術開発などの催しに出るのも良くない。

成功体験に酔う暇があったら、組織内の汚いところを見て回れ。

業績が良い時は出番は少ない、不祥事や大事故が起これば先頭に立つのが仕事。

 

リーダーに美辞麗句な不要。広報担当に任せればいい。

リーダーは言動に誠実でなくてはいけない。

 

安倍晋三さんにも読んで欲しい本だ。

社長だけでなく、自治体の首長にも当てはまるリーダー論。

 

さて、わが国も破綻企業ではなく、破綻国家にならなければいいが。