利息が生まれる原因を考える。

 

自然現象は人の知恵で予測できない。

どんなに周到に準備しても、足りないことが起こる。

その時、どうするか。

余っている人から、譲ってもらうしかない。

 

現在の財と未来の財の交換。

 

1年後に33%の利息を付けて、返すと約束する。

(ハムラビ法典が認める利息)

 

利息が高い理由は、

当時のメソポタミアは、穀物の収穫が豊かだった。

返せるあてがあった。

 

経済成長率が低いと、こんなに利息は取れない。

もし、成長率(物価上昇を含む)が2%なら、

2%プラスαが妥当になるだろう。

 

返してもらえないリスクが高いと、

もっと利息をもらわないと貸せないだろう。

ルネサンスのイタリアの投資家たちの取り分は、

一航海で4分の3だった。

船長の取り分は4分の1。

 

ものによっては、

今消費することに価値があり、明日では遅いこともある。

 

2千年間の経済成長率を研究している学者たちがいる。

アンガス・マディソンという学者グループ。

その研究によれば、

紀元1世紀から19世紀初頭まで

1800年間、一人当たりの所得でみた世界経済は

成長していない。という。

 

つまり、ゼロ成長が約2千年続いていた。

 

一見、16世紀からヨーロッパは豊かになったように見えるが、

実際は、植民地から収奪しただけだという。

 

18世紀からの産業革命も成長に寄与してない。

19世紀中頃からの経済成長の始まりについて、
 
「豊かさの誕生」という本で、
ウイリアム・バーンスタインは、
先進国経済が成長へと変わった条件を4つ挙げている。
 
1、私有財産権が安定(法的制度)。
2、科学的合理主義が有力となる(宗教の弱体化)。
3、資本市場が確立(投資が安定し、利息低下、コスト低下)。
4、効率的な輸送と通信が継続的に発達。

 

現在、先進国は、上記すべての条件がそろっているが、

経済成長率は、非常に低い。

日本は20年間にわたりゼロ成長。

成長がゼロだから、当然ながら利息もゼロに近い。

 

ゼロ利息の日本経済に外国からの投資があるのは不思議。

株主優遇で、労働分配率を下げ、投資家にお金を貢いでいるのが原因。

少なく見積もっても毎年20兆円、

従業員の給料分が投資家の懐に入っている。

 

日本企業からの蜜を吸えるだけ吸ったあと、

株価を下げ、企業価値を下げ、

安く買いたたくのが本音だろう。

 

学説によると、

過去2000年にわたってゼロ成長が続いていた間。

社会が安定を保つ秘訣として、

戦争や収奪で、富を強奪するシステムが必要だったという。

 

つまり、ゼロ成長が続く安定した社会では、

富は偏在していく。

少数の富豪が生まれる。

それを御破算にして再度、社会秩序の作り直しをするシステム。

 

日本では徳政令が頻繁に出された。

すべての借金をゼロにする。

 

ゼロ成長社会は、

借金の踏み倒しを求めるようだ。