ひとが此の世に誕生するとき、
温かく平穏な母の体内から
突然、投げ出され、
自力呼吸を迫られる。
此の世は
光に満ちているが、
そうぞうしく、
乱雑でいじわる。
繊細なこころでは
生きていけない。
生きている間、
こころは孤独。
どんなに親しいひとができても、
孤独が癒されることはない。
生きるとは、
その重みに耐えること。
しかし、ときに、
孤独を忘れるときも。
幸せを感じるときも、
死もまた、
突然にやってくる。
息を吸い込もうとしても
できなくなり、
数秒で意識が消える。
サーカスの喧騒からの
お別れ。
あとに残された人々は
さびしいかもしれないが、
死んでいく本人は、
安心の世界が。