
手放したくない衝動に駆られ、視野は狭(せば)まり、本来の姿からの乖離(かいり)が始まります。
財産を得た人は、失う事を怖(おそ)れます。
地位を得た人は、立場の喪失に震(ふる)えます。
権力を得た人は、更なる権力からの恫喝(どうかつ)に怯(おび)えます。
優越感を得た人は、見下される事に戦(おのの)きます。
このようにして、何かを得たと思った瞬間から、迷いや悩みは永劫(えいごう)に続くかの如く姿形を変えて、影響力を持ち続けます。
物質のみを中心とする世界を選択した瞬間から、この輪廻の循環を断ち切る術(すべ)を忘れ、飽(あ)くなき欲望の焔(ほのお)の中を彷徨うことになります。
但し、現象世界への埋没を良しとせず、ありのままの世界を観じ、大いなる光を軸に創造をする魂にとって、得ると言う事に比重を置く事はないが故に、失う事への怖れもありません。
それは何故か、知っているからです。
本来、失うものなどは何もないと言う事を。
全ては最初から与えられていて、その事に気付いた魂は、ただただ温かい心のエネルギーに満ちあふれ、感謝という光を流すだけだと言う事を思い出し、観じているからです。
今、自分が何かを失ったと考えているとしたら、それは失ったのではなく、失う事により、与えられたのだと観じてみて下さい。
全ての事柄は、連綿と紡(つむ)ぎあい、一欠片(ひとかけら)の無駄もなく、繋がっています。
肉眼の眼ではなく、心の眼が開く時、その真理が魂を貫き、失うものなどは何もない事を思い出せるのでしょう。
大いなる一つより、自らの望む経験を創造する為に、分け身魂(わけみたま)となりし事を思い出し、畏怖(いふ)と感謝の念を持って、生きて往く先にあるのは、揺らぐ事のない愛の世界だと観じます。
-本来無一物、幾許(いくばく)の喪失あらんや。-
Photo:淡い紫の調べ。
BGM:Sweet Mom/柴咲コウ♪