19歳の時 僕は4つ年上のOL H美と出会い 恋に落ちた。.

半年程つきあったある日 「ゴメン!私 結婚する彼がいるの」 悲しくて、くやしくて、途方にくれた。


最後の日 久我山の僕のアパートで朝をむかえた二人。窓をあけると うっすらと一面 三月の雪模様。

彼女を井の頭線で吉祥寺まで送り、そこで別れた。帰り道は雪の中ひとりで、家まで歩いて帰った。


数年後、真夏の暑い日 バイトで国分寺駅構内にいた。台車を押していると バッタリ H美と再会。

「元気? 結婚したの?」   「いいえ」  この言葉しか思い出せない。そのまま 別れた。


一人になると あの日の 雪景色 が八月の太陽の下で、僕をつつみこんでいた。