第147回 大原美術館ギャラリーコンサート
郷古廉 ベートーヴェン
ヴァイオリン・ソナタ全曲演奏会 Vol.1
日時: 2017.4.15(土) 18:30開演
会場: 倉敷・大原美術館 本館2階ギャラリー
出演:
郷古廉(ヴァイオリン)
加藤洋之(ピアノ)
曲目: ベートーヴェン/
ヴァイオリン・ソナタ第1番ニ長調 作品12-1
ヴァイオリン・ソナタ第2番イ長調 作品12-2
ヴァイオリン・ソナタ第3番変ホ長調 作品12-3
ヴァイオリン・ソナタ第5番 へ長調 作品24 『春』
アンコール:
シューベルト/ ヴァイオリンとピアノのためのソナチネ 第3番より 2楽章
郷古廉さんと加藤洋之さんによるベートーヴェンのヴァイオリン・ソナタ全曲演奏会を聴きに、大原美術館に行ってきました。
第1回目の今回は、ヴァイオリンソナタの第1、2、3、5番『春』の4曲です。
プログラムには、若い頃に作曲された春らしく明るい長調のソナタが並びました。
このシリーズは、これから毎年春に開催される予定だそうです。
倉敷までは、車で行くのが便利なのですが、
土日は駐車場が不足しがちですし、1人なので、
のんびりJRに乗って出かけました。
福山から倉敷まで、電車で約40分。
車窓から見る春の景色を楽しみました。
桜や桃、菜の花、そして、れんげ畑も!
岡山県に入ると、のどかな風景が続きます。
岡山は桃の産地なので、この季節は、山一面、桃の花でピンク色に染まる景色がとても美しいのです。
その風景を見たかったのですが、倉敷までの山陽本線沿線では桃畑を見ることができませんでした。
それが非常によかったので、今回は、発売初日に電話で予約しました。
私のように、遠方でチケットを取りに行けない場合、電話でのお取り置きができるのが便利です。
予約の際にいただく予約番号を受付で示せば、当日精算でスムーズにチケットの受け取りができます。
全席自由席。
少し早めに着いたので、開場まで外で待ちました。
芽を吹き始めた塀の蔦の新緑が綺麗でした。(写真上)
倉敷の桜は、すっかり葉桜となってしまっていました。(写真下)
ギャラリーコンサートでは、
「どの絵の近くに座ろうかな」と思案するのも楽しみですね。
展示替えをしてあったので、前回の2月とは多少絵の配置が違っていました。
今回は、モネの『積みわら』や『睡蓮』が正面に観えるよう、舞台が設置してありました。
さて、演奏。
舞台に郷古さんと加藤さんが登場。
前半は、1番と2番。
休憩を挟んで、後半は、3番と5番。
郷古さんは、今年4月の朝日新聞の取材に、
「ベートーヴェンは、闘うことをやめず、自分を見失わなかった。」とし、自らについても、「やりたいことをやり続けるために僕は変わっていきたい。伝統とは、常に挑戦し、変わっていくことを恐れぬ心によって築かれると思う。」とおっしゃっています。
「闘う」「変わっていく」というお言葉の通り、パワフルでややアグレッシブな面もあるベートーヴェンでした。
帰り道で、思っていたのと違ってたとおっしゃるご婦人の声がもれ聞こえてきましたが、確かに、往年の名演奏とは違いました。
しかし、私は、こういう演奏も好きです。
最初、1番を弾き始めた時、特に、ピアノの激しさに驚きました。(私の知ってる1番のピアノパートは、もっとエレガント)
が、悪くない。
矛盾に苦しむベートーヴェンの葛藤が見えました。
綺麗に美しく弾くことは簡単。でも溢れる感情を、単に感情的にならずに芸術として表現するのは非常に難しい。そういう点で、郷古さんの演奏は、とてもよく考えられていると思います。
それに応える加藤さんも見事。
聖書のぶどう酒と皮袋のたとえ話を思い出しながら聴いていました。
新しいぶどう酒は、新しい皮袋に容れないといけない。
郷古さんの若々しくて熱情的なベートーヴェンを、破裂しないようにしっかりと受け止め、熟成させていくような。。
加藤さん、全然お若いかたではないんですけど、懐が深いのでしょうね。
聴きごたえのある、立派な演奏でした。
ベートーヴェンの初期のソナタは、どの曲も大好きです。
特に1番が好きですね。
スプリングソナタは、これまでに退屈な演奏を聴き過ぎたために、あまり好きではなくなってしまっていたのだけど、このお二人の演奏はよかったです。
全く退屈せずに、あっという間に終わりました。
アンコールは、シューベルト。
(左側に、ちらっと、クールベの海の絵が見えるのがおわかりになりますか・・?こちらは1階ですが、こんな贅沢な空間でコンサートが開催されるのです。)
次回のギャラリーコンサートは、今井信子さんがご出演で、9月16日(土)だそうです。
その日は用事があって行けないから残念。
またぜひ次の機会にも聴きたいです。