日伊国交樹立150年 カラヴァッジョ展

会場:  国立西洋美術館

会期:  2016.3.1~6.12

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上野の国立西洋美術館で開催中のカラヴァッジョ展に行ってきました。


ちょうどタイミングよく、5/17、【国立西洋美術館  世界遺産へ】という、喜ばしいニュースが発表されました。

ユネスコの諮問機関が勧告したと発表。7月に正式決定される見通しとのこと。

実現すれば、東京都心に初めて世界遺産ができることになります。


国立西洋美術館は、フランスの建築家で近代建築の巨匠コルビュジェによる、日本国内唯一の建築物。
1959年に完成。らせん状の階段やピロティが特徴です。
松方コレクションが収蔵の核をなし、ロダンなどのフランス近代彫刻のコレクションでも有名です。
国立西洋美術館には、常設で、国内唯一のフェルメール作品『聖プラクセディス』も展示されています。

フェルメールの『聖プラクセディス』をはじめとした常設展についてと、日本にコルビュジェの設計による美術館ができることになった経緯については、昨年、ブログに記載しました。  →こちら

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(2016.5.18 日本経済新聞 朝刊)


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さて、カラヴァッジョ展についてです。
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カラヴァッジョの本名は、ミケランジェロ・メリージ・ダ・カラヴァッジョ。

出身地名の『カラヴァッジョ』という通称で広く知られています。 

ルネサンス期の後期、当時の美術界の主流だったマニエリスムが時代遅れとみなされつつあった時期に、時代の寵児のように出現した画家です。

人間の姿を映像のように写実的に描く手法と、光と陰を劇的に分ける明暗法が特徴。

現在ではテネブリスムと呼ばれている強烈な明暗法(カラヴァジズムとも)は、それまでのマニエリスムを打ち壊し、バロック絵画の形成に大きな影響を与えました。

ラ・トゥールや、ルーベンス、レンブラントなどの巨匠は、カラヴァッジョの影響をおおいに受けています。  ↓

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ジョルジュ・ドゥ・ラ・トゥール《煙草を吸う男》
   
(去年、ふくやま美術館に巡回していたラ・トゥールの『煙草を吸う男』に再会しました!)



38歳で没したカラヴァッジョ。
現存する真筆は、約60点強と言われていて、その中には移動不可能の作品が多数あります。

この展覧会は、日伊国交樹立150周年記念の展覧会ということで、イタリアの代表的な美術館が所有するカラヴァッジョの名品 11点と、カラヴァッジョの影響を受けた画家たち(カラヴァジェスティ)の作品、計約50点が出展され、カラヴァッジョの劇的な人生と作品、そして、彼が美術史に与えた影響が紹介されています。

今回の出品数は、日本で過去最多、世界でも有数の規模なのだそうです。



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カラヴァッジョ《女占い師》

ジプシー娘が手相を占うふりをして、指輪を抜き取ろうとする瞬間を描いています。



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カラヴァッジョ《法悦のマグダラのマリア》※初公開

宗教画とは思えない、肉体的で、写実的、ドラマティックな絵。



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カラヴァッジョ《ナルキッソス》

水に映る自分の姿に恋をしたナルキッソス。

膝を中心として、水面に映る姿が対称的に円を描くような構図で描かれています。
左手が水に浸かっていて、水に映る自分を抱きしめようとする瞬間の、恋する眼差し、そして叶わない恋の悲しみが絶妙に描かれていて、この展覧会で一番好きだった作品です。


このナルキッソスをはじめとして、カラヴァッジョの作品は、男性を描いたものが多いです。




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カラヴァッジョ《エマオの晩餐》

夕食を共にしている人物が復活したキリストだということに弟子たちが気がつく、劇的な再臨の場面を描いた作品。


このほかに、目を背けたくなるような、斬首の場面の絵などもありました。


カラヴァッジョは、喧嘩っ早く、暴力的で、拘置所に送られたり、人を殺したり、死刑判決を受けたり、と、順風満帆な人生ではありませんでした。

しかし、その作品は生前から評価が高かったようです。

死後しばらくの間は忘れられていましたが、20世紀になって、彼が西洋絵画に果たした大きな役割から、再評価されるようになりました。


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カラヴァッジョ展の会期は、6月12日まで。

開館時間は、朝9:30~17:30(金曜日は夜20:00まで)

※月曜日休館。