東京都美術館で開催中の、ボッティチェリ展に行ってきました。アート

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この展覧会は、日伊国交樹立150周年を記念して開催されるものです。

ボッティチェリの作品が20点、さらに、工房作品や、師弟の作品を含めて、約80点が展示されています。

ボッティチェリの作品は、世界に約100点ほど現存していますが、どの作品も至宝として扱われています。

ボッティチェリは世界中で人気が高く、展覧会の要望が多くて貸し出しのハードルが高い上、その作品は殆どが板に描かれたテンペラ画で非常に繊細で剥がれやすいため、これまで日本での展覧会開催は実現しませんでした。 

国交樹立150周年ということで、イタリア政府が全面的にサポート。
今回、ついに初のボッティチェリ展が開催されました。キラキラ

これから先、きっと何十年間、このような機会はないだろうとのことです。

日本では滅多に観ることができないボッティチェリ作品がまとまって展示される貴重な機会なのですから、見逃す手はありません。


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ボッティチェリが活躍したのは、15世紀から16世紀のイタリア・フィレンツェ。

メディチ家のおかかえの画家として、宗教画や物語画、肖像画など、幅広いジャンルの作品を手がけました。

この展覧会は、4部構成となっています。

第1部は、ボッティチェリを庇護したメディチ家が世界中から集めた美術品コレクションが展示。 

第2部は、ボッティチェリの師のフィリッポ・リッピの初期作品。

第3部は、ボッティチェリ自身の作品。

第4部は、フィリッポ・リッピの息子で、ボッティチェリに弟子入りしたフィリッピーノ・リッピの作品。


ボッティチェリ作品は、柔らかな美が追求され、人物像は写実的ではなく、手はほっそりと長く理想化されています。
明暗や立体感というよりも、優美な線、繊細な装飾性、洗練された色彩がボッティチェリ作品の魅力で、美しさの秘訣です。キラキラ


まず、会場に入ってすぐに、代表作の1つといえる『ラーマ家の東方三博士の礼賛』が展示されています。
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(ボッティチェリ  ラーマ家の東方三博士の礼賛)

この作品の見どころは、当時のフィレンツェの権力者、メディチ家の人々や、ボッティチェリ自身、そして、依頼主のラーマなどが描かれていることです。

右端の1人だけこちらを向いている人物がボッティチェリ自身だと言われています。



私はカトリックの信者ではないけれど、中高時代に過ごしたカトリックの学校の教壇の上に飾られていたラファエロやエル・グレコのマリア像を毎日眺めていた思い出があるため、マリア様の絵が好きです。

ですから、ボッティチェリ作品の中では、特にマリア像を描いた宗教画に惹かれました。

中でも、最高傑作の1つとされる『聖母子(書物の聖母)』と、初期作品の『バラ園の聖母』は息を呑むほど美しくて、しばらくの間、観入ってしまいました。

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(ボッティチェリ    書物の聖母)

ボッティチェリの描く聖母は、金髪の長い髪で面長。光輪や衣服に緻密な描写と装飾性があります。

特に、『書物の聖母』では、ベールや光輪に金箔で緻密な装飾が施してあり、ため息がでる美しさでした。
ブルーの衣服の絵の具は、ラピスラズリが使われているなど、高価な素材が多用されています。

マリア像は、伏し目がちで憂いに満ちています。
幼な子イエスに注がれた悲しみをたたえた視線は、イエス様の運命を悟って苦しんでいるようです。

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(ボッティチェリ   バラ園の聖母)

バラは、聖母マリアを象徴する花の1つ。
バラの花の美しい5月は聖母月とされています。

マリア様への祈り、天使祝詞を唱える時に使うロザリオは、薔薇の冠の意味です。
ロザリオの祈りは、ロザリオの珠を1輪のバラにみたてて、ロザリオの珠を数えながら、天使祝詞を10回唱える毎に主の祈りを1回唱えます。

マリア様を思う時に、バラの花が共にあるのです。




「ボッティチェリ展」は1月16日から4月3日まで。東京・上野公園の東京都美術館。月曜休。

一般1600円、学生1300円、高校生800円、65歳以上1000円。