仕事の帰りに同僚を家まで送ることになった
馴染みのない場所だったので、同僚が「次の信号で右折してください。そしたら道なりに進んで…。」とナビしてくれた。
どこら辺を走っているのか、自分では全然分からなかった。
なんとか無事に送り届けて、今度は自宅へ帰ろうと細道をくねくね走った。
そして、やっと大きな道路に出ると…
あれ?見たことのある景色。
あぁ。
セフレ君の家に行くときにいつも通っていた道だ。
少し動揺しつつも、どんどん進む。
そしたら、見慣れた道路標識が。
あそこを左折したら、彼の家はまもなくの場所にある。
その青い看板に吸い込まれそうな気分になりながら、アクセルを踏み続ける。
どうしよう。
彼の家に行ってみようか。
別に彼に会いたいわけじゃない。
ちょっと見に行くだけ。
胸の鼓動が次第に早くなる。
そして交差点に差し掛かった。
私はその時たまたま右車線を走っていて、急に左折することはできず…。
彼の家に続く通りの方へ一瞬視線をやり、そのまま真っ直ぐに進んだ。
危なかった…
私、どうかしていたかも。
本当に彼の家に行ってしまいそうだった。
しばらく呆然としていた。
赤信号で停まった時に、ふと同僚からもらったシュークリームのことを思い出した。
お腹が空いているわけではなかったが無性に食べたくなって、クーラーバッグの中から取り出す。
彼の嫌いな、シュークリーム。
夢中で頬張った。
こんなに美味しいのにね…