コツコツ コツコツ
足音が聴こえる
こんな時間になると 人通りも少ない
街灯の明かりが うっすらと照らす
鍵を開けて 家に入る人がいる
大通りに出ると
車通りもまばらで
赤信号でも渡れてしまった
着いた着いた 中華屋さん
外食で中華とか 半年ぶりぐらいかな
今日は 五目そばを食べに来たのだ
小さな店で けっこう混んでいる
カウンタ席ーに座ると ビールを頼もうかと迷った
やっぱりやめておこう 久しぶりの中華屋さんの雰囲気を
酔ってない意識で 味わいたいから
なんて考えながら
五目そばと餃子を頼んだ
見ると、中華屋のおやじさんが
たくさんの量のチャーハンを炒めている
すごいな 上手だな 楽しそうだな
おやじさんは なんとなく中国人っぽい人で
中華鍋と一体になって動いていて
まるで踊っているようだった
幸せそうだな と思いながら見ていると
先に餃子が届いた
いただきます 餃子のたれを小皿に注いで ラー油はなし
ぱくぱく うまい うまいぞ
程よい熱さと うまみが口の中に広がる
おねえさんがラーメンの麺をゆで終わった
こっちでは おやじさんが具を炒めている
おお 大きくて深い器だな
五目そばに期待が膨らむ
お待たせしました 来ました来ました
すごい量だ しかもいろどりも素敵じゃないか
さあさあ 食べてみよう
ズルズル もぐもぐ これは
この味は 高校生のころに通っていた 別の中華屋さん
今はなくなったスーパーの中にあった店で食べた
あのラーメンと そっくりの味じゃないか
思わぬところで 懐かしい味と再会
五目そば 当たりだな 俺はニヤリと笑った
五目そば 五目そば 餃子 五目そば 五目そば 餃子
と食べていく
途切れなくうまい 後ろの席では 作業服の若者たちや
スーツのサラリーマンが あれやこれやと話している
電話の時でも常識っていうのが あるやん なんとかかんとか
明日の作業はどこである なんとかかんとか
目の前の厨房の3人は あいつはもう家でたんか 嫁行ったんか
あいつは仕事は県外かとか 楽しそうに話している
隣では スタミナ定食を食べながら ビールをゴクゴク 春コートを着た男の人
ところで 汗かきの僕は あっとう間に 体がほてってきて
五目そばを食べながら 水を飲んで体を冷ますのだけれど
噴き出す汗は止められず あっつい あっつい いいながら
メガネを取り 上着を脱いで Tシャツ姿になった
こんなことなら 家に上着とメガネを置いてくればよかった
あまりの量に半分食べたら満腹に近づいた
そこから猛チャージ 餃子も五目そばも ついに食べきった
とにかくうまかったな
店員さんが陽気なのも お客さんがごちゃごちゃしてるのも
いかにも街の小さな中華屋さんの雰囲気で
癒されたなと 思う間もなく 暑くて暑くて
急いでお勘定をして ごちそうさま
店の外に飛び出した
いや すずしいな すずしいな すずしいな
しばらくすると 寒くなってきた
やっぱりまだ冷気があるのだな
さっきは上着を着ていたし 汗もかいてなかったから
分からなかったのだ
お腹がパンパンで よろめきながら歩いて
やっと家の前についた
今日の中華料理の旅は
とても充実したな
そう満足しながら 僕はドアを開けて 中に入った
