なぜ、電話応対ゼロが絶対条件になったのか。




かれこれ新卒で入社した時代に遡る。




新卒で入社した会社はIT企業で、総務部の配属だった。




新入社員ということで、最初は電話を取り次ぎする練習をさせられた。


特に、問い合わせ対応ということもなく、取り次ぎという任務だけを課せられた。



初めは緊張しながらも
「○○○会社でございます。」と出ていた。



しかし、じわじわと自分の中での拒否反応が始まった。



管理系の部署が集まったオフィスはとってもシーンとしていた。




社員同士が話をしてない限り静寂に包まれている。




電話はもちろん鳴り響き、その静寂の中で


先輩社員に両脇を挟まれながら、



「○○○会社でございます」



と電話に出るのが、




嫌すぎた。




みんなに聞かれてる!


どうしよう!


噛んだら!


めちゃめちゃ恥ずかしい!



という思いが頭から離れなくなった。



相談した人には誰も聞いてないよ!と言われたが、絶対聞いてるじゃん!と思っていた。




小さい頃から人前で失敗したらどうしようという感覚が強かったマジメ子はここでその弱点を強烈に発揮し出したのだ。





そのうち、電話が鳴るのが気になってビクビクして他の業務が仕事にならない。





うわ、今めっちゃシーンとしてる。

今鳴って
「○○○会社でごじゃります」


とか言っちゃったらどうしよう。


呂律回らなかったらどうしよう。


ふざけているのではない。


本気で思っている。




それでも3か月間我慢して我慢して電話に出た。




そのうち、口周りに強烈に力が入る癖ができ、本当に話しづらくなってきて、実際に電話の時、噛む回数が増えてきた。




こればまずいと思ったのが、普段の会話ですら口周りの筋肉が強張って話しづらくなってきた。




末期症状だ。




色々対策はしてみた。



電話が鳴り響いた後に出るから、みんながマジメ子が出る時に耳を傾ける。(誰も耳を傾けてはいない)




鳴り響く前に取ればよくね?
急に喋り始めたら聞き耳立てずらいんじゃない?
と思い、




鳴る数秒前に電話が光ることに気づいた。




よし、電話が光った瞬間に取ろう。



周りからしたら、電話が取るのが速すぎて電話応対大好きな、はりきり新入社員にしか見えなかった
だろう。




実際に、電話恐怖のことを先輩に相談した時、
「え!!あんなに速く電話取ってのに!?
嫌だったの!?」


とびっくりされた。





謎の作戦を実行することにより、はりきり新入社員だと勘違いをされ、気持ちを分かってもらえなかった。




ということで、日常生活にも体全体に力が入るようになりメンタルがおかしくなってきた。



父親に変な病気になるぞ、もう辞めろ。

という言葉が決め手となり、


たった5ヶ月で退職したのであった。



そう。これが電話応対NGになったトラウマである。



これから数年、事務だと電話応対が必須だからと思い、泣く泣く接客業に転職した。


しかし、接客もなかなかストレスになり合わない。



それなら電話応対ゼロ!と謳っているところに応募すればよくねぇ?と思い、



数少ない電話応対ゼロの会社を渡り歩いてきて今に至る。


正社員になりたいが、電話応対はそれこそ必須であり派遣社員だと取らなくてもいいですよという会社もあるため、派遣社員の人生になった。


それにしてもトラウマ事件から20年近く経っているのに、まだダメなのかあと自分が情けなくなる。



しかし、苦痛なことはできないし、しない!と決めている。



よって、電話応対ゼロが絶対条件の転職活動は進む。