最初はメニエール病を疑われ、薬が効かなかったので突発性難聴の治療に切り替えた。




突発性難聴の場合、ステロイドの服用と点滴の治療が必要だった。




マジメ子の場合、片耳の低音の聴力が落ちていたのだが、とくに低い音が一日中ボワーーンとしている。


幸い目眩の症状はなかったため、なんとか会社で座っていることはできたが、とにかく耳の調子が悪いって不快すぎる。




低い男の人の声が、とにかく除夜の鐘のように頭に響きマジで喋らないでくれと思うようになった。


斜め後ろに座っていたなんの悪気もない低い声の男の人のことを心から嫌いになっていた。



こちらも悪気はない。すまない。




突発性難聴の完治する確率が3分の1と言われてるため、ステロイドを飲みだしてから毎日祈る日々だった。



発症から5日目の夕方、耳の中にずっと入ってるような気がしていた水が少し抜けた感覚がした。




ああ〜よかった。たぶん治る。





しかしここからが意外としぶとかった。



2か月ほど経っても、調子が悪い日と良い日があったりして安定しない。



心配性なマジメ子はググりすぎて突発性難聴に関わる検索結果の文字すべてが紫色になっていた。



挙げ句の果てに、医者に


「本当に突発性難聴ですよね?
なんか怖い病気じゃないですよね?」

と言う始末だ。




怖い病気ってなんだ。




医者もそんなに心配ならと大学病院の紹介状を書いてくれた。




ほとんど聴力が戻っているにも関わらず、大学病院に行ったら当たり前だが突発性難聴と言われた。



そして診療中に心配いりませんと3回も言われた。




これぐらいのレベルでわざわざ大学病院まで来るなんて心配性な人だと思われていたに違いない。




心配いりません!の一言がほしかったマジメ子はルンルンと大学病院を後にした。



人騒がせなやつである。




それから1週間ほどでほぼ元通りになった。




もう無理はしない。

量産型ロボットは量産しないロボットに生まれ変わった。