昨日、由依に振られた私はまともな睡眠も取れずにレッスンへ来た。が、レッスン前に小林から話があるとマネージャーに言われ、メンバーが会議室に集められた。嫌な予感しかしない。
マネ「えー今日は、メンバーの小林由依からみんなに話があって集まってもらった」
由依「はい。急で申し訳ないんですけど…」
なんとなく次にくる言葉が分かってしまう。
由依「私、小林由依は櫻坂46を卒業します」
みんな驚いていた。それはそうだろう、本当に急すぎる。由依からの言葉を予想していた私だって驚かずにはいられなかった。
なんで?そんなに私のことが嫌いなの?
茜「な、なんで急に」
由依「…」
菅井「ゆいぽん?」
由依「…えっと、好きな人がいて」
由依がそう言った瞬間にみんなが私の方を見る。私と由依が付き合っていたことをメンバーは知っていたからだ。でも別れたのは昨日だからまだ言っていなかった。
尾関「こばは理佐と付き合ってるじゃん」
理佐「…昨日別れた」
葵「どういうこと?ゆいぽん、理佐のこと好きじゃないのに付き合ってたの?」
由依「…うん、そうだよ」
昨日と同じことを本人の口から言われ、あぁこれは現実なんだと胸が痛む。それと同時に視界が歪む。やばい、泣いちゃいそう。そう思った時にはもう遅く、涙が流れてしまっていた。そんな私をメンバーが慰めてくれた。
茜「なにそれ。好きじゃないのに付き合うってなに?」
尾関「理佐は本当にこばのこと好きだったのに!」
理佐「おぜちゃん、いいよ大丈夫」
小池「例え由依ちゃんが他に好きな人がいたとしても、わざわざ卒業する必要ないんちゃう?」
由依「…」
菅井「そうだよ。理佐には悪いけど、まだ櫻坂もこれからだし、今抜けられたら困る。考えなおしてくれないかな?」
葵「理佐はそれでも大丈夫?」
きっと友香と葵は、別れた人といるのは酷だろうと心配してくれているのだろう。確かに、由依はひどいと思う。けど、櫻坂に必要なのは事実だ。
理佐「…大丈夫」
友香「理佐もこう言ってくれてることだし、なんとか考え直してほしい」
由依「変わらないよ」
友香「え?」
由依「私は卒業する」
茜「なんで?そこまでして好きな人といたいの?」
由依「…うん。そう。結婚して幸せになりたい。だから卒業する」
茜「結婚なんて今じゃなくてもできる」
由依「私がいつ結婚しようと勝手でしょ」
茜「…ほんと最低」
しばらくしてマネージャーさんがやってきて、レッスンを開始すると言ってメンバーがぞろぞろと出て行った。一期生は私のことを慰めてくれてまだ残っていた。由依はどこに行ったかは知らないが、さっきひかるちゃんと何かを話していた。まぁもうどうでもいいけど。
そっか。由依は私のこと全然好きじゃなかったのか。少しでも浮かれていた自分が馬鹿みたいだ。2年も付き合ったのに何にも分かってなかった。
グループを卒業することにした。本音を言えば、辞めたくない。けど、病気の症状が出たり、もし入院とかすることになったらメンバーに迷惑がかかる。メンバーはみんな優しいから、本当のことを言ったらきっと色々気遣わせてしまう。だから、まだ症状が軽いうちにグループを去ろうと決めた。
そして、また嫌われることを選択した。
みんなが私を嫌いになってくれれば、私のことを気にかけることもない。
そして、理佐のそばに誰かしらいてくれる。元々、理佐は人気者だからいつでも誰か隣にはいる。けど、理佐は弱さを隠したい人だから、一人で抱え込んでしまう。
だから、今回私がひどいことを言うことで、今まで以上に理佐の隣にみんないてくれるはず。ひどいことを言われ、傷ついた理佐を心配してきっとそばにいてくれる。そうすれば、理佐は一人で抱え込むことも減る。
これでいいんだ。
森田「…由依さん。本当にこれでいいんですか?」
由依「ひかる…」
実はひかるは私の病気を知っている。いや正確に言えば知られてしまった。昨日、楽屋で診断の紙を見てるところを見られてしまい、話さざるを得なかった。
理佐を振ろうとしてることも卒業しようしていることも伝えた。もちろん止められた。だけど、もう決めたことだと伝えると、分かりましたと言ってくれた。
森田「私は、由依さん推しなので由依さんが決めたことを否定するつもりはありません。けど、由依さんが後悔するのは嫌です」
由依「…」
森田「由依さんには、幸せになってほしい。けど、それは理佐さんも同じです。由依さんは、この選択をして後悔してませんか?幸せですか?」
由依「…うん」
森田「…そうですか。ならいいんです」
幸せじゃない。でも後悔してるかと聞かれたらしていないだろう。だって、私といない方が理佐は幸せになれるんだから。理佐が幸せならそれでいい。
続く
