・吉本隆明さんは、ふたりの娘さんの父親でした。女の子を育てるにあたって気をつけたのは、「なにかしているときに、中断させないように」ということだったそうです。昔の家では、女の子はどうしても用事を言いつけられることが多くて、本を読んでいても夢中で遊んでいても途中でやめさせられてしまうことが多かった、と。それをしないようにということだけは、気をつけていたということでした。
これは、女の子だけでなく、男の子どもでもありそうなことだし、組織においては、新人や部下の立場の人たちのほうが、なにかを中断させられることが多いと思います。ぼく自身は、フリーの期間が長かったせいか、じぶんの夢中になってやっていることを中断させられることはあんまり経験してませんでした。じぶんでいいと思ったところまで、続けてなにかをやる。それは、とても大事なことだったんだと思います。
いまの時代、なんでも「中断」を前提にして、さまざまなコンテンツがつくられているようです。「人間の集中力は、そんなに長くは続かない」と。それはそうなんだと思うのですが、人間は同時に集中力の練習もしてきたはずなんです。だって、一冊の本を読むのだって、3分間じゃないわけで。おもしろいから読み続けるにしても、必要だからちゃんと読んでおこうとするにしても、やってるうちに「じょうずになっていく」んですよね。そこのところを、あきらめちゃいけないと思ったんです。
どんなことでも、1分だの3分だのではできません。どれだけ忙しい時代でも、ほんとうに大事なことを、大切にしながらやりとげるのには長い時間がかかります。だいたい、じぶんという人間が生きる力を身につけるにも20年とかの時間がかかっているわけですからね。
このところ、ぼく自身もSNSを減らして、本を読んでます。積ん読だった本を、実際に読みはじめるとおもしろいんだ。
今日も、「ほぼ日」に来てくれてありがとうございます。この27文字40行を「長文」と思ってる人もいるらしい時代。
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続ける、とか、集中、とか、長い時間かけて、とか
あきらめない、とか
時代のキーワードなのかな。