閉店30分前に入店。
アイスコーヒー350円。
カウンターに座ると急に眠気がきて
テーブルに額をくっつけてしまいそうになった。
店内に静かに流れるゆったりとした音楽が心地良かった。
気がつくとお店に入った時にいたお客さんがみんな帰っており
閉店時間も迫っていたので私も店を出ることに。
カウンターにはライターが置かれていたけど、もしかしたら…
という期待を胸にマッチの有無をマスターに聞いてみた。
すると
「全然カッコ良くないデザインだけど…」
と言いながら、控え目な笑顔でレジの後ろの棚から出してきて下さった。
とんでもない！
眠気が一気に冷めた。
思わずマスターに
「素敵です‼」
と言ってしまった。
すると、またさっきの控え目な笑顔で
「昔はテーブルに並べてたんだけどね…ライターの方が便利だから…」
それでも奥に仕舞わず、すぐに手の届く場所に置かれていたことが
私には何だか嬉しく感じた。
「ごちそうさまでした。」
と言って店を出た後、鞄にマッチをしまった。
歩きはじめると何だか嬉しくなって、
もう一度鞄からマッチを出して眺めた。
また少し歩き、ふと振り返ると
さっきまでいた場所の灯りが消えていた。
間に合って良かった…
心からそう思った。
りんご。