山口市阿東徳佐にあるリンゴ園で、今年も1本の老木が実をつけた。樹齢64年。毎年9万人ほどが訪れる西日本最大のリンゴ狩りの名所の「ルーツの木」だ。1500個ほどの実がなっている。
老木があるのは「友清りんご園」。社長の友清達一郎さん(67)の父で「徳佐リンゴの神様」と言われた故隆男さんが植えた。
隆男さんは韓国・蔚山(ウルサン)でリンゴを栽培していたが、終戦とともに山口県防府市に引き揚げてきた。当時、県内にリンゴ農家はなかったが、「ふるさとでリンゴを」と過去10年ほどの気象データを取り寄せて分析。徳佐を選んで森を開墾し、1946年12月に苗木を植えた。
3年後、ゴールデンデリシャスの実12個をつけたのが、現在の老木だった。
リンゴの木に商品となるような実がなる期間は一般に60年程度とされる。開墾当初からの木は衰えとともに伐採されていったが、隆男さんはこの木だけは処分せず、2004年に94歳で亡くなるまでいたわり続けたという。友清さんは「徳佐の歴史が詰まった木。命がある限り、父の分までかわいがっていきたい」と話している。
徳佐では現在、16軒のリンゴ農家が計1万5千本ほどの木を栽培している。
