最近のホットワード:第四の壁( The Fourth Wall)

 

この1週間で3種類の第四の壁の崩壊に出会いました。

 

ちなみに第四の壁、とはお客さんとエンターテイメントの間にある壁のことです。詳しいことはウィキってください。

結構古い手法なんだなあ・・・あんま詳しくなかったわ。(笑)

 

どうですかね?皆さんは第四の壁を壊す系のエンタメは好きですか?私は場合によります。それが目的になっている場合は効果的に使われている時に限り、いいかな、と思います。基本的には世界観の崩壊が起こるからあんまり好きじゃない。

 

手法としてはお客さんに直接的に訴えることができるし、例えばテーマが現代の問題だったりして「これはあなたの問題だ!」と訴えかけたいなら効きます。それに。お話の中に物理的に引き込むことができます。

 

でもなんとなく、最近濫用が目立つ気がするなあと、思うのですよ。

客席にダンサーが入っていくとか、

客席の後ろから登場するとか、

お客さんの一人を指名して話しかけるとか、

 

そういうことをしなくとも、「これは私の問題なんだ」って思わせたり、「まるでその世界にいたような気がする」って感じてもらえるようなものが作りたくないですか?

 

 

私が最近出会った第四の壁その1は、ゲーム(ビジュアルナラティヴ)「ドキドキリテラチャークラブ」

日本語版プレイしてる動画はお一人しか見かけてないのですが、もともと英語で、日本のギャルゲーに影響を受けた人が開発したフリーゲーム。これに関しては解説とか見解が英語で出回りまくっててすげー面白かったの。好きだよねえこういうの。笑

 

このゲームは最終的に第四の壁を壊すことが目的になっているし、壊し方も効果的だったかなと思いました。というかゲームでそこのとこ踏み込んでくるのは思ってるよりダメージでかいなと。

 

アンチ第四の壁破壊派だったので、新しかったです。

 

eye-openingのうまい日本語訳教えてください。eye-openingだったんです。こういうのうざいよね〜「日本語でてこない日本語でてこない!」っていう日本人🙋

(いやあでも英語でものを見たり読んだりしてる時は基本英語で考えてるから無理なんです許してヒヤシンス。火に油注いでるかな、やめよう)

 

 

私が出会った第四の壁その2は文学の授業にて。

意図的だろうがそうでなかろうが、例えば1人称視点だったのに急に相手の気持ちを説明するようなことが発生したら、それは視点の崩壊が起きていると。なるほど。それは時に第四の壁の崩壊につながる、と。ほう。

 

あくまで世界観を作ることに寄与していた「視点」が崩壊して、異常に受け手の心に入り込んでしまったり、フィクションとして読ませていたものの現実との境目を薄めてしまうことはどうなんだい?!と先生に力強く問いかけられました

 

確かに以上の2つの例は2D的なエンタメで、受け手が勝手に止めたり進めたりできる類のものです。だからこそ勝手にズケズケこちら側の世界に来るのはある意味タブーな領域かもしれません。

 

 

ケース3。

今日見てきた学校で行われていた芝居。テーマはアメリカの制度の一つで、つい最近打ち切りが発表されたDACAについてでした。ここカリフォルニアにとっては大問題で、出演者のみならずお客さんも「DACAが打ち切られる社会の一部」であることが求められた話であることは事実。

そんなお芝居では、まずお客さんはステージの裏を通って客席へ入ります。(多分DACA申し込みのオフィスって設定なのかな?私たちもDACA希望者って設定だったんだと思う。)

そしてステージではすでに演者が演技を始めています(平田オリザ氏でいう第0場というやつですね。私はこれもある意味第四の壁の破壊方法の一つだと思っています。)。

 

さすがにこれはやりすぎなんじゃないかなあ、と思ってしまいました。

ステージの上をお客さんに歩かせるのはかなりのタブーだと思っているし、リスクが大きすぎる。(厳戒態勢だったけどね)

まあそもそもアメリカの演劇、というか文化全体的にはタブーを壊してなんぼな風潮があるなあという気がしているので、ただ新しくて面白いねえとやり過ごすこともできたのですが、なんとなく、こっち側に踏み込まれすぎて怖かったです。

 

怖くなったら止められる本やゲームと違って、演劇とか絵画とかの3Dのアートはそこに巻き込まざるをえないですよね?

再度申し上げますが、否定しているわけではなく、ただ最近多いなあと思う、というお話です。

 

 

それだけ社会の諸問題を「あなた」の問題として捉えてほしいと思っている作り手が多く、アートがその役割を担うようになってきたということだとは思います。正解がないことをもやもやと考えることって止められないですよねえ。

 

現実世界とのリンクってその場はすげえ面白いけど冷静に考えたら結構怖いぜ。